平成19928

                     Nintendo64はなぜ負けたのか

105-370       中川 正隆

 任天堂は、据え置き機で「ファミリーコンピュータ」、「スーパーファミコン」とトップシェアを維持してきました。19966月に発売された「Nintendo64」は同世代のゲーム機の中で圧倒的な高性能でした(64bitCPUに「プレイステーション」の4倍以上の処理能力)。しかし、「Nintendo64」はソニーの「プレイステーション」に負けるという結果に終わりました(売上台数は「Nintendo64」が日本で約544万台、海外で約2738万台。「プレイステーション」が日本で約2159万台、海外で約8090万台。)。「Nintendo64」の敗因として「発売日の遅れ」、「CD-ROMROMカセットの製造費の違い」が挙げられます。

 

     発売日の遅れ

Nintendo64」が発売される前に、「プレイステーション」が199412月に発売されました。また、登場時には「プレイステーション」が市場を占領し始めており、『ファイナルファンタジーZ』が「プレイステーション」向けに発売すると決定した後でした。

『ファイナルファンタジーZ』が「プレイステーション」向けに発売されたことは「Nintendo64」にとって大きな痛手となりました。なぜなら、ユーザーはゲーム機の性能よりも発売されるソフトで購入するゲーム機を選択します。そのため、ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズのような人気ソフトがゲーム機シェア競争に与える影響は非常に大きいです。

 

     CD-ROMROMカセットの製造費の違い

「プレイステーション」と「Nintenndo64」は対応メディアが違います。「プレイステーション」がCD-ROM、「Nintendo64」がROMカセットです。CD-ROMは製造費が180円前後で、コストパフォーマンスに優れています。しかし、当時ROMカセットは8MBのゲームカセットを作るのに3000円以上かかりました。さらに、ROMカセットの製造費は容量が大きければ大きいほど高くなります(開発費の違いもありますが、例として8MBの『ファイナルファンタジーW』が8,800円、12MBの『ドラゴンクエストX』が9,600円、16MBの『ファイナルファンタジーX』が9,800円、24MBの『ファイナルファンタジーY』が11,400円、32MBの『ドラゴンクエストY』が11,400円となっています)。

また、生産にかかる時間にも違いがあります。CD-ROMは数日で出来るのに対してROMカセットは1ヶ月かかります。そのため、CD-ROMなら、販売時点情報管理システムを駆使したコンビニの物流システムを使えば、在庫と欠品を最小に抑えることができます。

 

 

参考文献

馬場宏尚(1996)『ソニー・セガ・任天堂ゲーム機最終戦争』エール出版社

平林久和・赤尾晃一(1996)『ゲームの大學』メディアファクトリー

橘寛基(2006)『最新ゲーム業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』秀和システム

参考URL

ドラクエ売り上げ比較 http://www6.cncm.ne.jp/~supernova1000/DQ8/DQ_uriage.html

Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8