平成19年6月22日
ゲーム脳
105-370 中川 正隆
1.ゲーム脳とは
ゲーム脳とは、森昭雄が『ゲーム脳の恐怖』において提示した造語です。ゲームに熱中することにより、脳から出るβ波が激減して、β/α値が低下します。普段ゲームをしてない人は、ゲームをやめるとβ/α値が元に戻りますが、日常的にゲームをしている人は回復遅く、高齢者の痴呆症患者と同じ波形を示します。この状態をゲーム脳といいます。また、脳の専門家の間では、科学的根拠のない疑似科学と言われています。
ゲーム脳になると、大脳皮質の前頭分野の活動レベルが低下し、この部位が司る意欲や情動の抑制の機能が働かなくなり、思考活動が衰えます。これが、キレることにつながり少年犯罪の原因といわれています。
2.ゲーム脳に対する批判
ゲーム脳は、ゲームになじみの薄い中高年層や保護者に多くの支持者を得ていますが、一方で科学的な間違いや論理的矛盾、恣意的なデータ解釈が多く見られるとして、疑似科学の範疇に入ると指摘されています。以下に、その問題点になります。
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運動をしている最中でもβ/α値が低下し、ゲームをしている時と同じ現象が起こる。しかし、運動をしている時のβ/α値の低下は問題なしとし、ゲームをしている時のβ/α値の低下は問題ありとしている。
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ゲーム脳以前の疑似科学では、α波はいいものとしているが、ゲーム脳では悪いものとしている。また、α波に注目するという発想は他の疑似科学理論から採り入れているが、α波の評価だけを正反対にしている。
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標本や被験者数がはっきりと示されていない。被験者数が示されていても、10人以下と少なすぎて統計学的にみて行動と脳波の相関関係を確認できない。また、若者だけしかデータを取らず、年齢・性別・職業に大きな偏りがある。
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森自身ゲームに対する基礎知識が十分にない。ロールプレイングゲームの事を敵に発見されないように進み、遭遇した敵を倒していくゲームと定義するなど、基本的なゲームのジャンルの区別すらついていない。また、コスプレイヤーの頭はゲーム脳とするなど、サブカルチャーやおたく文化全般にも知識はなく、全面的に否定していることが推測できる。
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森はゲームの影響を計る実験の際、対象者をノーマル脳、ビジュアル脳、半ゲーム脳、ゲーム脳と分けているが、これは主観的なものであり、科学的なものではない。
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森が脳波を測定するために脳波計を独自に開発したが、この脳波計は厳格な医学的手続きを踏んでいない。そのため、測定された脳波の結果自体が信頼できない。
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ゲーム中毒者はβ波が低下するので痴呆症患者と同じという前提には根拠がない。
参考URL
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8