あなたが抗うつ薬をもらったら?

〜抗うつ薬の変遷〜

 

◎抗精神病薬−クロルプロマジン

・・・1952年。発見のきっかけは外科。手術前の患者への術前麻酔として使われ始めた。患者が鎮静、というよりは“無関心”になるという印象。神経の興奮を鎮めて、精神の安定をもたらすように見え、「協力精神安定剤」と呼ばれる。パーキンソン症状をはじめとする副作用を引き起こすことが明らかとなり、「薬で一時的に抑えているだけで、慢性化させているだけではないか」という批判も起こったが、このクロプロマジンの発見によって精神科医の薬物治療への関心は高まっていった。しかし、当時は精神療法に重要な地位が与えられており、薬の作用だけでは、精神を病んでいる患者を治すことができないとされていた。

 

◎三環系抗うつ薬−イミプラミン

 ・・・1950年代?つい最近まで使われており、もっとも世界中で使われた抗うつ薬である。発見者のクーンはイミプラミンの抗うつ作用は、内因性のうつ病に効果を示すという特異性を強調した。うつの特異的な治療の成功のためには、精神科医がうつ病をきちんと選別しなければならず、それができなければ薬物療法の有効性は、かなり制限されるだろう、というのがクーンの考え方だったとされる。

  →現在、抗うつ薬について一般に流布している概念とは異なっている?

 

◎精神賦活薬−イプロニアジド

 ・・・1950年代。イプロジアジドは、中度の引きこもりやよくうつ症状に悩む患者に有効であるとされる薬である。クーンがイミプラミンを、気分を立て直すための「感情調整薬」としてとらえていたのに対して、イプロジアジドの発見者であるクラインは「精神賦活薬」としてとらえていたとされる。

 

 

 

参考文献

「薬でうつは治るのか?」 片田珠美 (洋泉社 2006.09.21 初版)