「ジェネリック医薬品、普及進まず、厚生労働省聞き取りへ」(記事)
◆2006年10月23日asahi.comのジェネリック医薬品に関する記事の紹介
国内で後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及が進まない原因を探ろうと、厚生労働省は、大手の調剤薬局経営会社を対象にした聞き取り調査に月内にも乗り出す。同省は、安価な後発医薬品を普及させることで医療費抑制をめざしており、処方現場の実態を把握して今後の利用促進策につなげる考えだ。
(中略)
今年4月からは、医師が出す薬の処方箋(せん)に後発品への変更可という欄が新たに設けられた(※)。新薬名が記入してあっても、この欄に医師のチェックとサインがあれば薬剤師は後発品を処方できる。
だが日本薬剤師会が今年4、5月に全国の薬局で処方された処方箋のうち約24万枚を調べたところ、医師のサインは20%ほどの処方箋にあったのに、うち1割ほどしか後発品は処方されておらず、サイン欄を活用して処方されたケースは約2%にとどまった。
厚労省は、この2%を「低い」と問題視。調剤薬局を経営している会社から聞き取り調査をし、後発品処方の現状、処方が少ない理由、患者への後発品に関する情報提供の内容などを尋ね、処方を妨げている要因や後発品に関する処方現場の意識を探る。調剤薬局をチェーン展開している大手の経営会社10社前後が対象になるとみられる。
厚労省は「後発品は先発品と同じ効果や安全性が確保されている」としている。一方、日本薬剤師会の薬局アンケートでは、後発品を採用する際に重視するのは「安定供給」「適応症」「入手、納品に要する時間」の順だった。
後発品をめぐっては、厚労省が3月、日本製薬団体連合会に通知を出し、後発医薬品を安定供給できる態勢を整えることなどを求めた。公正取引委員会の今年1~9月の調査では、先発品メーカーが医療機関に「後発品の品質が劣る」「製造上の欠陥がある」などと不公正な取引につながりかねない説明をしていた例があることなども明らかになっている。
※後発医薬品の使用促進のための環境整備
1 基本的考え方
○後発医薬品の使用促進のため、後発医薬品を含む処方を行った場合に処方箋料を高く評価するなどの対応を行ってきたが、後発医薬品の市場シェアは欧米諸国に比べて依然として低い。
↓
○後発医薬品の使用促進のための環境整備を図る観点から、先発医薬品の銘柄名を記載した処方せんを交付した医師が、後発医薬品に変更して差し支えない旨の意思表示を行いやすくするため、処方せんの様式を変更。
2 具体的内容
○処方せんの様式を変更し、「備考」欄中に新たに「後発医薬品への変更可」のチェック欄を設ける。
・「処方」欄に先発医薬品の銘柄名を記載した処方せんを交付した医師が、当該先発医薬品を後発医薬品に変更しても差し支えないと判断した場合は、その意思表示として「後発医薬品への変更可」のチェック欄に署名するか、又は姓名を記載し、押印することとする。
・ただし、処方医が、当該処方せんに係る先発医薬品の一部については後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合は、その意思表示として「処方」欄の当該先発医薬品の銘柄名の後に「(後発医薬品への変更不可)」と記載することとする。
○「後発医薬品への変更可」のチェック欄に処方医の署名又は記名・押印のある処方せんを受け付けた保険薬局は、患者の選択に資するため、後発医薬品に関する情報等を提供し、患者が選択した後発医薬品又は先発医薬品を調剤する。
○「後発医薬品への変更可」のチェック欄に処方医の署名又は記名・押印のある処方せんについては、診療報酬上、後発医薬品を含む処方を行った場合に該当するものとして取り扱うこととする。
▶2006年4月から処方箋の形式が変わり、患者は調剤薬局の薬剤師と話し合って後発医薬品に変えることができるようになった。