睡眠について①

 

     うつ病の中心的な症状としてあげられる「睡眠障害」。また、うつ病の治療法の中には「断眠療法」というものもある。睡眠にはどんな働きがあるのか。

 

睡眠とは?

・人間の脳幹が掌る三大欲「食欲・睡眠欲・性欲」に基く休息行動。

・幅広い脊椎動物にみられる、自発的に生じる静的状態。睡眠中は刺激に対する反応がほとんどなくなり、移動や外界の注視などの様々な活動も低下する。

 

◆睡眠の役割

・脳と体の休養。

・傷病の治癒。記憶の再構成。(意義は完全には解明されていない。)

・徐波睡眠(深い睡眠)中に成長ホルモンが集中して分泌される。

・脳の加熱を防ぐ

  睡眠の中でも  徐波睡眠(深い睡眠)は、とくに深部体温を強く下げる働きがあることが分かっている。睡眠は深部体温の上昇で生じる脳の過熱を防ぐ働きをもつと考えられる。

睡眠のエネルギー保存説

  覚醒中は体内の物質を酸化してエネルギーを作り出し(異化作用)、これを心や身体の活動を営む動力にしている。これに対し、異化作用を抑えてエネルギー源の保存に役立っているのが睡眠である。特に徐波睡眠(深い睡眠)中に最もエネルギ-消費量が低下する。

※徐波睡眠・・・脳波上、徐波パターンが中心の睡眠段階。レム睡眠に対してノンレム睡眠とも呼ばれる。

 

◆レム睡眠とノンレム睡眠

ヒトの睡眠は、脳波と眼球運動のパターンで分類できる。

◉レム睡眠(=Rapid Eye Movements/急速眼球運動

・筋肉の緊張や反射活動は強く抑えられているため、一般的にはレム睡眠は体の睡眠と考えられている。

・レム睡眠中の脳活動は覚醒時と似ておりエネルギー消費率も覚醒時とほぼ同等である。

・およそ90分の周期でノンレム睡眠と交替しながら現れ、通常は総睡眠時間の2025%を占める。

1953年にシカゴ大学のナサニエル・クライトマンとユージン・アゼリンスキーがレム睡眠を発見。)

ノンレム睡眠(眼球運動を伴わない眠り)

・一般的にノンレム睡眠は脳の睡眠といわれている。

・ノンレム睡眠は段階1から段階4までの4段階に分けられ、段階4が睡眠の最も深いレベルである。

 

夜の眠りはノンレム睡眠から始まり、ノンレム睡眠(1.うとうとしている入眠期→2.浅い眠り→3.中等度の眠り→4.深い眠り)が1時間半か2時間続いたあと、いちど眠りが浅くなって、最初のレム睡眠が現れる。レム睡眠は5分ほど続き、再び深い眠り(ノンレム睡眠)へと入っていく。

ノンレム睡眠とレム睡眠は1つのセットになって、1時間半程度の小刻みなリズムをつくり、一晩に45回くり返すのが睡眠の一般的な型とされている。