さまざまなうつ病のケース

    〜高齢者とうつ病〜  続き

 

 

3.高齢者のうつ病と自殺

     高齢者のうつ病の場合、若者よりも自殺率が高くなる。

      いらいら感が高まる 自殺

      集中力の低下    痴呆に似た症状

     自殺例の背景を精神医学的に詳しく調べたところ、7-8割はうつであったと考えられている。

表向きは身体の病気や生活苦を理由にする自殺であっても、実はうつ病が隠れていることが多い。

 

     高齢者の自殺の背景は?

@     身体的負担

  ・病気を大きなストレスに感じる。(「楽になりたい」「死んだほうがましだ」…)

    自分の健康状態に悪い評価を下しがち

  ・高血圧症、糖尿病、脳梗塞後遺症、心臓病、関節痛など

    継続的な身体的苦痛がうつ病の引き金となり自殺につながると考えられる。

A     家族への精神的負担

・自殺する高齢者は家族と同居していることが多い。(「迷惑をかけたくない」…)

・同居する家族に看護や介護の負担をかけることへの遠慮。

   ➜周りは負担に思わなくても本人は負担を感じる。

B     喪失感と孤立

配偶者、子、兄弟など近親者の病気や死

  高齢者は心身両面で近親者への依存度が増加

 

※うつの原因と自殺の原因はつながっている!?

 

4. 高齢者のうつに対する課題 

     高齢者を取り巻く協力体制を組む。(家族、友人、近所づきあい、ヘルパーなどの支援者、保健所、精神保健福祉センター等)

     精神科医だけでなく、医療全体でうつ病に取りくむ。

 

 

 

参考文献

大野裕 『「うつ」を治す』 PHP新書(2005

 

参考URL

福島県精神保健福祉センター/うつ自殺予防(http://www.pref.fukushima.jp/seisinsenta/top.html)

あなたの健康百科(http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/200307112.html)

 

 

性・年齢(5歳階級)別自殺死亡率(人口10万対)の年次比較 (一部)

年齢階級

平成6
(1994)

7
('95)

8
('96)

9
('97)

10
('98)

11
('99)

12
(2000)

13
('01)

14
('02)

15
('03)

総数

23.1

23.4

24.3

26.0

36.5

36.5

35.2

34.2

35.2

38.0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3034

19.8

20.2

20.4

21.6

28.8

29.4

28.8

25.9

28.2

32.9

3539

22.7

21.9

24.0

25,2

33.3

34.9

33.0

32.8

31.5

37.2

4044

25.3

26.0

26.0

28.4

37.5

38.9

36.8

39.4

42.3

49.0

4549

31.7

31.4

33.1

35.0

50.4

51.4

49.0

45.5

49.6

56.3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7074

32.2

32.7

33.3

36.4

42.4

40.6

41.2

41.9

36.8

39.5

7579

45.2

42.5

39.3

42.1

46.9

49.8

39.1

40.0

39.8

36.9

8084

56.8

54.4

56.0

53.4

68.9

62.5

55.4

53.5

48.7

45.5

8589

75.2

73.1

65.3

74.5

81.4

79.6

71.1

68.1

60.0

64.5

90

90.2

97.5

89.4

83.6

93.9

100.0

78.8

72.8

77.1

74.8

 

年齢階級

平成6
(1994)

7
('95)

8
('96)

9
('97)

10
('98)

11
('99)

12
(2000)

13
('01)

14
('02)

15
('03)

総数

10.9

11.3

11.5

11.9

14.7

14.1

13.4

12.9

12.8

13.5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3034

8.0

8.6

9.0

10.1

12.2

12.5

11.3

11.1

11.4

12.6

3539

7.5

8.2

8.0

9.2

11.2

10.9

9.8

9.9

11.8

12.8

4044

8.8

8.8

8.7

8.7

10.5

10.2

10.5

10.6

9.8

11.6

4549

9.9

10.8

11.0

11.7

13.4

14.5

12.2

12.4

11.9

12.6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7074

20.9

22.5

22.0

20.9

25.0

23.2

21.4

20.6

19.4

21.1

7579

28.1

28.0

29.9

25.6

32.4

27.9

26.2

22.6

21.8

20.9

8084

39.2

37.6

33.7

37.2

41.8

36.9

32.8

28.8

25.4

25.5

8589

45.2

41.0

42.1

44.6

43.7

43.1

36.2

35.8

33.0

30.3

90

37.9

44.6

34.3

33.8

42.1

36.9

37.4

32.4

33.6

27.4

性・年齢階級(5歳階級)別自殺死亡率をみると、男では、50歳代をピークとする大きな山が形成されており、20歳代〜60歳代が平成6年〜平成9年と平成10年以降の大きく2層に分かれている。また、30歳代〜40歳代では平成15年においてやや高くなっている。 一方、女は各年ともほぼ同様で、高年齢になるにしたがって高くなっている。    (厚生労働省 自殺死亡統計の概況 より引用)