平成19年5月25日
「工業化政策 その2」
森奈津子
・EOI(輸出指向工業化)戦略
発展途上国が工業化を目指す際に、現在自国で生産している製品を海外に輸出し、広い市場を獲得する事で工業化を図るもの。ISIとは異なり、自国の産業を保護するのではなく競争にさらす事により発展を目指す。また、外資も積極的に誘致し、技術の蓄積を行う。世界に対して貿易を行うので競争相手も多いが自国内の市場に比べて圧倒的に大きな市場を対象とする事が可能。現在の貿易自由化の潮流にも沿っている。
・関税政策
関税率を低く設定 → 海外の工業製品と自国の製品を競合させ、自国の企業に技術革新と合理化をもたらし、国際競争力を高める。
・輸出振興政策
輸出補助金 → 未熟な自国産業に補助金を出す事により国際競争力を高める
人材育成 → 高度な技術を必要とする産業にも対応できる様、教育を行う
税制優遇 → 外国企業に対して免税や特別区などの優遇をする事により、海外資本の導入を図る
・外貨流入
海外資本により税収の増加、国内での消費により外貨獲得の手段となる。
いかに技術を取り込むか → 政府
いかに海外資本を流入しやすくするか → 工業化政策
○ISIとEOI
ISIとEOIは目指す方向が違う政策ではあるが、どちらが優れているといったものではない。実際に行われている政策では同じ国がある分野ではISIをとりながら他の分野ではEOIをとっているといった並存するケースがほとんどである。重要な事は自国の産業の発展段階、状況を正しく把握し、過度に保護せず、過度の競争にさらさず、適切な政策を選択する事にある。