平成18512

「アフリカの現状」

森奈津子

外国からの援助は不足しているのか?

途上国の発展のためには、先進国からの援助が必要であるということは一般的によく言われることである。実際、1970年代以降、先進国と国際機関は、途上国への援助に努めてきた。そしてさらに、途上国側の要請を待たずに、先進国側で積極的に発展案件を発掘して、援助するべきであるとされた。それなのにアフリカの発展が思わしくないのは、援助する量がまだ不足しているからなのであろうか。

アフリカには、国民総生産に対して最高率の外国資金流入が続いている。しかも、最も寛大な資金移転である贈与は、1990年以降は一貫して各地域の第一位を占め、全途上国受け取り贈与額の30%以上を受け取っている。

このように、アフリカ諸国に対する先進国からの援助は、国民総生産に比べてけして少なくなく、その条件も寛大である。したがって、アフリカ諸国の経済成長が思わしくないのは、援助の量と条件に関係があるとは言えなさそうである。よって、アフリカへの援助は、量を増やせばよいという質の問題ではないということがわかった。

 

参考文献

「援助する国される国」 服部正也 中央公論新社