CDはなぜCDなのか
大きさと最大収録時間 → 直径12cm、75分(正確には74分42秒)
開発元の片割れであり世界初の光ディスク(=LD)を開発したオランダのフィリップス社が当初ソニーに提示したのは『11.5cm、60分収録』のディスクであった。この11.5cmというのはカセットテープの対角線と同じ長さで、ドイツの工業規格であるDIN(Deutsche Industrie Normen,ドイツ工業品標準規格)に適合していた。しかしこれは世界で初めてデジタル音声技術を開発したソニーにもできないことではなく、理論上は30cmのディスク(≒LD)に13時間20分のデジタル音声を直接記録できると判っていたので、逆算すれば60分の音声は直径約9cmのディスクで実現可能だった。
ところが当時のソニー副社長にして声楽家出身の大賀典雄が「オペラ一幕分、あるいはベートーベンの第九が納まる時間である75分が良い」と提案し、実際に調査をしたところクラシック音楽の95%が75分以内に収まると判明したため、ソニー側は『12cm、75分収録』の案を提示した。
両者が互いに譲ることは無く、フィリップスは「12cmもあったら上着のポケットに入るわけがない!」と言い出した。ソニーはこれに対し日・米・欧の上着ポケットをわざわざ調べて「14cmを下回るポケットがないのだから12cmでも問題はない」と示した結果、最終的にソニーの案が通る形となった。
材質 → ポリカーボネートの基盤+アルミニウムの反射膜
そもそもLDの基盤素材はアクリル樹脂であったが、アクリル樹脂は反りが発生するという欠陥を抱えていた(このためLDは片面記録であってもアルミニウムを両面に蒸着させている)事から、透明性・耐熱性・耐衝撃性などでより優れたポリカーボネートが採用された。また反射膜にアルミニウムが採用されたのは加工の容易さや表面にできる酸化皮膜による耐食性からと考えられる。
ただしポリカーボネートは湿気により加水分解する欠点があり、これにより徐々に白濁していきレーザーが読み取れなくなる危険がある。また金属疲労に弱いアルミニウムは環境にも依るが20年〜30年が寿命と言われている。
これに対し、温度や湿度の影響が比較的少ないガラス製基盤のCDやアルミよりも優れた耐性をもつ金を反射膜に用いたCDなどがある。
参考…Sony History↓
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/index.html