LIVE EARTH
[LIVE EARTH]
今夏、世界各地で開催されたLIVE EARTH(※)。その会場の中でも一際注目をあつめていたのは京都・東寺で行われた公演(出演;RIP SLYME→UA→BONNIE PINK→Michael Nyman→YMO)だったと思われた。今回はその特殊な会場のPAについてまとめてみた。
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※LIVE EARTH…前アメリカ副大統領だったアル・ゴアと2005年に行われたLIVE8のプロデューサーであるケヴィン・ウォールが中心となって立ち上げられたプロジェクトSOS(Save
Our Selves)が初めて取り組む世界的な音楽プロジェクト。2007年7月7日の24時間を通し8ヶ国/9ヵ所で行われた。 |
イベントの主旨…音楽を通して地球環境防止を訴える。
→できるだけ環境に負荷のかからない運営が要求される。
★電力…自然エネルギーによって発電されたグリーン電力を購入し、それを使用。
★機材…使用電力が限られるので、必要最低限のものが用意された。
[PAのセッティング]
MSI JAPAN(http://www.msi-japan.com/)が担当。
主催者からの要望…「スピーカーでドンと鳴らすシステムではなく、必要最小限の物量で、ステージの背景となる金堂を中心に全てが溶け込むようなレイアウトにしてほしい」
屋外の、しかも建物の敷地内なので客席が左右非対称である点や、多くの樹木がある点などを考慮してスピーカーの配置を決めた。
◎指向性の広くないスピーカーを使う
→要望どおりにするならば指向性の広いスピーカーを分散させるのが普通の方法。
※打ち込みを使用したアーティストが出演するのでL/Rをはっきりさせた方が良い。
⇒敢えて音があまり広がらないスピーカーを用いる。
◎通常のL/Rスピーカーに加えてさらにL側にRスピーカーを置く
→客席が右側に膨らんでいるため。
⇒すべてのお客さんが同じ音を聴けるように(もちろん調整は事前に入念にしておく)。
◎デジタルコンソールを使用
→5組のアーティストが2〜5曲のパフォーマンスを限られた時間(計二時間)で行う。
→少ない時間の中で複数のセッティングを素早く行う必要がある。
⇒ボタン一つでインプットしたデータを出せるデジタルミキサーが最適。
参考文献
サウンド&レコーディングマガジン2007年9月号(リットーミュージック)