PAの歴史〜その2〜
前回に引き続き、PAに関すると思しき出来事を集めてきた。
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1931
Alan Blumleinがステレオ録音技術の特許を取得する。
Adolph Rickenbackerらにより世界初のエレキギターが発明される(※1)
1932
Abbey Road Studiosがオープンする。
1933
ナチスドイツの党大会においてAEG-Telefunken製の高出力PAシステムが使用される。→近代PAの始まりといわれている(※2)
1934 Laurens
Hammondによってハモンドオルガン(※3)が発明される。
1936 ナチスドイツがベルリン五輪大会の中継のために、試験的にではあるが世界初のTV本放送をおこなった。(※4)
1937
ドイツのAEG-Telefunkenによって世界初のテープレコーダー『the
Magnetophon』が市販された(※5-1)
1940
世界で初めてステレオを利用したディズニーの『ファンタジア』がアメリカで公開される(※6)
1949 45回転7インチレコードが市場に出始める。
1950 東京通信機工業(現・ソニー)が初の国産テープレコーダーを開発する(※5-2)
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※1→ これがその世界初のエレキギター(下の画像)。
※2→ 6万人収容可能な会場の地中に、PA用の大型スピーカーを埋めて重低音を効かせる手法を取り入れていた。ちなみにこの時に流されていたのはヒトラーの生演説と彼の好んだワーグナーの音楽や行進曲のレコードだったらしい。
※3→ ハモンドオルガンから発展したものがシンセサイザーである。なお、現在ハモンドオルガンの商標権は日本の鈴木楽器製作所(http://www.suzuki-music.co.jp/)が有している。
※4→ 試験的とはいえ、複数のカメラを用いたかなり本格的なものだった。しかし電波は首都ベルリン市内にしか届かなかった。また、この年にはイギリスのBBCが11月2日から世界初の(試験的ではない)TV放送を開始している。
※5→ そもそもテープレコーダーとは磁気録音方式によるもので、その方式自体は19世紀末にできていたが、扱いにくく耐久性もなかったことからそれほど一般的にはならなかった。そこでこの磁気記録媒体を扱いやすく耐久性もあるプラスチックテープにした上で開発されたのがMagnetophonだった。当初音質が悪かったが、テープ自体の素材の改良などにより、1939〜41年の間に飛躍的に音質は改善された。
なお、東京通信機工業の開発した国産テープレコーダーは紙テープ式である。
※6→ スピーカーを劇場内の左右前後に配置し(すなわち4.0ch)、 それぞれのスピーカー毎に異なる音を出して音の立体感を出した。ただし日本語字幕版では2.0chで前のみのステレオになっている(日本公開は1955年9月)。
参考サイト
The History
of Pubic Address(英語)→http://www.historyofpa.co.uk/v3/index.htm
TWO MIX(東京都内のPA業者)→http://www.twomix.co.jp/English/pahistory.html
ウィキペディア(テープレコーダー、ファンタジア、ステレオ)→http://ja.wikipedia.org/wiki/
リッケンバッカー日本公式サイト(画像)→http://www.rickenbacker-jp.com/
参考文献
菊地成孔(2004)
「真夜中のミッドナイト・フットボール 世界の9年間と、新宿コマ劇場の6日間」 小学館