平成21年11月13日
中東を選んだ元Jリーガー(2)
104‐417 樋川朋也
無給生活はダヴィだけ?
ダヴィと同じくJリーグのクラブにかつて所属し、現在カタールリーグに所属する選手に元ガンバ大阪のマグノ・アウベス(現ウム・サラル所属)やアラウージョ(現アル・ガラファ所属)がいる。少なくとも彼らがお金に困っているという話はない。お金の話はデリケートなので、同じブラジル人の彼らにも相談することができないとダヴィは言う。QNOC(カタールオリンピック評議会)に顔が利くドーハ在住のブローカーが、給料を全額横領したのかもしれないと疑ってさえいる。
Jリーグへの復帰を望むが
ダヴィは今すぐにでもカタールを離れ、日本に戻りプレーすることを望んでいる。Jリーグのレベルは高い。観客の多い所でプレーが楽しい。カタールの給料は高いが、あくまでも『提示額』であって、実際の『支払額』ではないことが理由だ。
だが、日本に戻るには課題が多い。まずJリーグのクラブからオファーが来ること。信頼できる代理人を探すこと。そして、現所属クラブであるウム・サラルとの契約解除。これが困難だ。
今回の移籍金500万ドル(約4億5000万円)のうち、名古屋グランパス側に支払われたのは300万ドル(約2億7000万円)だ。残りは2009年12月までに100万ドル(約9000万円)、2010年7月までに100万ドルが支払われることになっている。仮に、ダヴィがウム・サラルを早期に退団すれば、ウム・サラルは残りの支払いを拒否する可能性が高い。そうなると、ダヴィに名古屋グランパスへの200万ドル(約1億8000万円)の支払い義務が発生する可能性がある。そのうえ、円満に退団しないとカタールという国から出られない可能性が出てくる。このため、交渉は慎重に慎重を重ねて行っていく必要がある。
参考書籍
(2009) 『サッカーダイジェスト11月3日号』 日本スポーツ企画出版社