平成20年6月27日
移籍市場の膨張5
104-417 樋川 朋也
南米市場の問題
ロビーニョ選手の移籍
ロビーニョの移籍金額3千万ドルはデニウソンが97年にベティスとサインしたときの2千6百万ドルを上回り歴代最高額。これまでブラジル人選手の移籍金額はカカの850万ドルという「悪しき前例」(代理人リベイロ)のため、ずっと抑えられていた。つまりカカ以下の選手なら800万ドルを下回ることになる。この状況を覆す効果があるのが、今回のロビーニョの移籍だとされる。ロビーニョが移籍金の40%を貰わないことを理由に、レアル・マドリード側が違約金5千万ドルの60%に相当する3千万ドルを保証したため、移籍決定だと報道された。だが、契約にはクラブの合意なく一方的に移籍する場合は5千万ドルをまるまる違約金としてクラブに支払わなければならない、とある。つまり3千万ドルは大金だが、それでは足りないということだ。サントス側が「レアルから違約金を受け取ってない、だからロビーニョはまだサントスの選手だ」と発言した。
ロビーニョというヨーロッパリーグでの実績がない選手に5千万ドルは非現実的な話である。なぜサントスはレアル・マドリードと移籍交渉をしてロビーニョを単純に移籍させないのか。移籍の場合にはサントス60%、選手40%という比率で移籍金の分配(権利金)が行われる。問題はこの交渉テーブルの座についている関係者で、キーパーソンはロビーニョの代理人リベイロ。カカをサンパウロFCからミランに移籍させ、サントスと契約更新したばかりのルシェンブルゴ監督を電話一本でレアルに行かせた代理人である。ロビーニョの移籍の件でも彼は選手の代理人とレアル側任命の交渉人を兼ねる。移籍金の選手側の比率はロビーニョ30%、リベイロ10%(計40%)とまで言われた。さらに代理人は欧州のクラブから報酬を受け取ると言われており、いわゆる悪徳代理人と呼べる存在である。今回の問題はブラジルサッカー経済に巣くう悪徳代理人との戦いの構図が見え隠れする。