平成18年11月10日

姓について〜明治時代〜

104−275 鈴木幹子

明治の民法の公布・施行まで

太政官布告で平民に苗字を差し許す(明治3(1870))

⇒これにより、平民も苗字を称することができるようになる。

・「姓尸(せいし)」使用の停止(明治4(1871))

・「自今位記官記ヲ始メ一切公用ノ文書二姓尸ヲ除キ苗字実名ノミ相用候事」

(明治41012日太政官布告)

 

「従来官吏署名の式、上表其の他重要書類には官位・姓尸・実名を署し、普通の公文書類には官・苗字・実名を署するを以て例と為し、他官省官吏との往復書及び私用文には苗字・官のみを署することを許しゝが、是の日、位記・官記を始め総ての公文書に姓尸を署するのを止め、苗字・実名のみを署せしむ」(『明治天皇紀第2巻』562)

 

⇒この太政官布告により姓尸(※姓=ウジ名+カバネを指す)は、公的な場面での制度的な機能がなくなった。

 

・壬申戸籍の編製

⇒明治5(1872)より壬申戸籍の編製始まる。

 

・太政官布告「平民苗字必称令」(明治8(1875))

⇒これにより、国民すべてが苗字を称することとされる。

 

明治の民法(明治31(1898)公布・施行)

明治の民法は、戸籍を同じにする戸主と家族から構成される家を中心に立法

⇒「氏」は、家の名称とされた(一家一氏の原則)

・同じ家(同じ戸籍)にある者は、みなその家の「氏」を称する。

・入夫と婿養子は、妻の家に入ったので妻の家の「氏」を称する。

・「氏」が家の名称とされたことにより、法律上は「氏」と血統とは直接の関係はなくなる。

ex:従前、支配層では「氏」の父系継承の観念から妻は生家の「氏」を称していた。しかし、明治の民法により、夫の家に入った妻は、夫の家の「氏」を称することとなった。

⇒明治当初は、苗字、氏、姓などが混用されていたが、「氏」が法令用語となった。

 

参考URL

http://www.kantei.go.jp/