平成19年9月6日

ライトノベル的な成人向け小説

                               104-221 坂田

 ライトノベル的な様式を用いた成人向け小説というものも存在している。これはアダルトゲームなどを原作にしたものやオリジナルの作品で、性描写を扱ったものであり、前回のBL小説の多くもこちらに含まれている。こうした作品を総じてジュブナイルポルノと呼び、BL同様ライトノベルとは別ジャンルとして区別される事が多い。また、ライトノベル作家がこうしたジュブナイルポルノで執筆する際はペンネームを変更するケースもある。

 このジャンルの起源は1986年に富士見美少女文庫によりアダルトアニメの『くりいむレモン』シリーズなどのノベライズが行われた頃にまで遡る事が出来る。

 成人向け書籍大手のフランス書院が2003年5月に美少女文庫を創刊し、マドンナ社がマドンナメイト文庫からアニメ調のイラストを起用した後、本格的に独立したレーベルである二見ブルーベリーシリーズを刊行開始、更に以前から新書形態で発行してきたキルヒタイムコミュニケーションが、従来の新書版の二次元ドリームノベルズから派生した二次元ドリーム文庫を立ち上げるなど、活動が盛んである。

 これらによって発行される文庫の男性向け成人小説のうち、半数近くがライトノベル的な作品となり、広がりを見せている。

 しかし、こうしたジュブナイルポルノの作品への出版社側の活発な活動とは裏腹に、書店の側ではライトノベルのレーベルなどと比べて取り扱っている書店が圧倒的に少なく、販売部数も少ない。そのため、ヒット作に恵まれにくく、文庫オリジナル作品もアダルトゲームなどとの競合により、ライトノベルとは違いマルチメディア展開への期待はほぼ出来無いなど、レーベル経営の課題が非常に多い。

 

 

参考文献

『ライトノベル完全読本』 新城カズマ ソフトバンク新書 2006

参考URL

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%AB