平成19年7月13日
ライトノベルと一般書籍
104-221 坂田 悠
現在、私を含めて大多数がライトノベルと一般書籍を別の物として扱っている。しかし、ライトノベルの定義自体は今までにも説明したとおり、ひどく曖昧なものである。主な違いとしてはいわゆる漫画的、アニメ的なイラストが使われている事や、キャラクター小説が多い、といった点である。
しかしながら、こうしたイラストも、最近では一部ながら一般書籍にも使われる事もあったり、ライトノベル作品の中でもイラストを使わない、もしくは使っても章の区切りなど一部にのみ使っている作品もある。
このように元々曖昧だったライトノベルと一般書籍ではあるが、最近ライトノベルと一般書籍の間での作家の行き来や、ライトノベルで一般書籍的な作品、逆に一般書籍でライトノベル的な作品、というのが発売されたりなど、ライトノベルと一般作品の境界が少しずつ狭まってきている。
例えば、最近では宮部みゆきの『ブレイブ・ストーリー』。これは元々は一般書籍で角川書店より発刊された作品だったが、その作風や内容などから映画・コミック・ゲーム・ライトノベルと多岐に渡るマルチメディア展開を果たした。
また、元は富士見ミステリー文庫にて『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』等の作品を書いていた桜庭一樹は、同タイトルのハードカバー版や、『少女には向かない職業』といった、一般書籍を刊行するようになった。このように、ライトノベル作家が一般書籍で刊行し、そのまま一般書籍に転向する、という作家も徐々に出てきており、脱・ライトノベルと呼ばれる風潮が広がりつつある。
こうした脱・ライトノベル(ライトノベルの一般化?)の一例として、第13回電撃大賞の大賞受賞作である、『ミミズクと夜の王』がある。この作品は、作風も童話的な正統派ファンタジーというライトノベルとは多少毛色の違ったものであるが、その最大の特徴は、この作品についたイラストである。これは明らかに一般向けを意識したイラストであり、この作品を一般の人に手に取ってもらいやすいように、もしくはライトノベルというイメージを払拭するように考慮されていると言える。
参考URL
http://www.mediaworks.co.jp/3taisyo/index.php
http://natu-kuru.cocolog-nifty.com/blog/memo_2/index.html