平成18年6月16

ライトノベルにおけるイラストの変遷A

                               104-221 坂田

・「非アニメ塗り」から「アニメ塗り」へ

 まず最初に、1,988年に角川文庫と富士見ファンタジア文庫が創刊された。これらは、現在のライトノベルの形式を固めたもの、つまりマンガ/アニメっぽいイラストを意図的に大量に駆使したレーベルである。

 このレーベルが創刊された翌年の1,989年に行われた第一回ファンタジア長編小説大賞にて、『スレイヤーズ!』が準入選した。この『スレイヤーズ!』の前後から、「非アニメ塗り」から「アニメ塗り」へとライトノベルの占めるイラストが変わっていった。

・何故「非アニメ塗り」から「アニメ塗り」へ移り変わったのか

 では、何故、どのようにして『スレイヤーズ!』以降の画法へと移り変わったのか。その理由は、「短期間で大量のイラストを、忙しいイラストレーターに描かせる必要があった」からである。

当時、特に1,980年代後半から90年代初頭は、アニメ業界からイラストレーターを起用することが圧倒的に多かった。しかし、イラストを頼んでもアニメの仕事が忙しく、短期間で大量の絵を描くことは出来無い。しかし、出版社側も毎月雑誌を出さなければならないし、文庫も次々と出る。

ならばどうするか、ということで「アニメ塗り」つまりセル画の用法を導入したのである。アニメの絵というのは分業が進んでおり、イラストレーターに主線を描いてもらったら、色を塗る人は別の人が担当する、といったことを行っていた。この方式ならばみんななれているため、すぐに導入も可能であり、かつイラストレーターの負担も軽減でき、短期間で大量のイラストを描くことが可能になったのである。

このようにして「アニメ塗り」のイラストがライトノベルに付くようになったのである。

 

 

参考文献

『ライトノベル「超」入門』 新城カズマ ソフトバンク新書 2,006

参考URL

http://www2s.biglobe.ne.jp/~amanote/d/d.html


「非アニメ塗り」                                       「アニメ塗り」