平成18年5月26日
雑誌の部数
104-221 坂田 悠
雑誌の部数を伝える時に「公称○部」という言葉を用いる。直訳すれば「一般に公開された部数は○部です」という意味合いになる。この「公称」という言葉に隠された意味などを調べてみた。
「公称部数」というのは、出版社が発表している発行部数のことです。しかし、この公称部数は、実際に発行されている実部数を、間違いなく上回っている。これは出版業界においては当たり前のことであり、大手から中小までほとんどの出版社が実部数より多くを公称部数として発表している。「公称部数は実部数の3倍」というのが一般的だが、出版社によって様々である。
発行部数を誤魔化す理由には大きくわけて二つある。一つ目は書籍の際と同様に、読者の購買意欲をあおり、売れている雑誌ならば自分も読んでおかなければ、という気持ちにさせるものである。
しかし、「読者の購買意欲をあおる」ということよりももっと大きな理由がある。それは、雑誌の運営費用が売り上げ収入と広告収入の両方でまかなっていることに起因する。
つまり、運営費用を稼ぐために出版社側は広告収入が欲しい。そのため公称部数を上げることによって、広告効果のある媒体だとアピールするのである。
経営的に安定した雑誌は売り上げ収入と広告収入が半々と言われており、出版社はどこも広告クライアントを探すのに必死である。ゆえに「公称部数」が効果を発揮するのである。
例えば、公称20万部で実売3万部の雑誌と公称10万部で実売6万部の雑誌があったとする。どちらも広告料金や読者層が同じならば、クライアントはより発行部数の多い方が宣伝効果が高いと見込んで公称20万部の雑誌を選ぶであろう。実際には公称10万部の側が実売部数で勝っているが、実売部数は公表されないため、クライアントにはわからないからである。
このように、「公称部数」は広告スポンサー向けや、雑誌同士のライバル関係により水増しした部数であり、実態とはかけ離れている事が多々ある。
参考URL
http://www2.plala.or.jp/eiko/review/r03_busuu.html
http://crekin.net/syuppan/syuppan3.htm