平成18年5月19日
書籍の部数
104-221 坂田 悠
発行部数というものは当然ながら「発行された本の合計部数」のことである。しかし、この発行部数というものには多分に嘘が含まれている事が多々ある。電車の吊り広告や書店内の広告で「50万部突破!」などと書いてある本があったとする。しかし、2005年6月17日時点の記事では現在の日本の書店は17,839店しか存在しない。すると単純計算で1店舗に約28冊が置かれている計算になる。無論大きな書店にはそれ以上に置いてあることもあるだろうし既に誰かの家にもあるだろう。
現在、20世紀末より続く深刻な出版不況のため、50万部のヒット作ともなればどこの書店でも取り寄せたがるものである。しかし、実際には小さな書店では一冊も置いていない、置いていても数冊のみ、ということはよくある話である。
これは発行部数を誤魔化しているからである。その理由として、1.読者対策、2.マスコミ・書店対策がある。
読者対策というのは、読者により購買意欲を持たせる為の策である。例えば、特に目当ての本も無い時に本屋へ立ち寄った人が「50万部突破!」と書いてある本と「2万部突破!」と書いてある本で、作者の知名度も同程度ならば、大抵の人は「50万部」の方を手に取るであろう。
マスコミ・書店対策もほぼ同様である。マスコミは常に最新の話題を取り上げたがっており、書店は売れる本を置きたがっている。そこにマスコミがネタとして取り上げたがるような「50万部突破!」といった餌を放り込む。マスコミに取り上げられればその本を実際に欲しがる人も増え、書店も売れる本という事で店に置きたがる。
以上の理由から発行部数というものは実際の部数よりも多く書かれる、ということが多々発生するのである。
参考URL
http://crekin.net/syuppan/syuppan2.htm