平成18年4月21日
ライトノベルの歴史
104-221 坂田 悠
ライトノベルのレーベル
ライトノベルは今でこそ一般的になっているが、最初にライトノベル系のレーベルが刊行され始めたのは1970年代末である。
そもそもの始まりは、1975年に創刊されたソノラマ文庫や1976年に創刊されたコバルト文庫といったレーベルが、それまでとは異なる雰囲気のイラストを使い始めたところにあった。いわゆる「マンガっぽい(もしくはアニメっぽい)イラスト」である。
こういった「マンガ/アニメっぽいイラスト」が使われて若い読者に支持されていったのが70年代末から80年代前半にかけてのことである。1988年になると、角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫が創刊されました。
ニフティでライトノベルという言葉が出来るまで
1988年時点で、ニフティのSFファンタジー・フォーラム(FSF)内の「書評会議室」ではSFやファンタジーに加えて、ソノラマ・コバルト・角川スニーカー・富士見ファンタジアといった「若い人向けの小説」が全部まとめて扱われていた。
しかし、それらを並列に扱うことは却って混乱を招きかねない、ということになり、会議室を徐々に分割することになった。1989年頃に、まずファンタジーの専門会議室が設置され、更にしばらく後、90年に「若い人向けの小説」のための会議室が設けられた。
ここで新しい会議室を設置するにあたって名称を決める必要が発生した。当時の世間では先ほどのソノラマから富士見ファンタジアまでをまるごとカバーするちょうどいい用語が存在していなかった。
「若い読者向けの小説」を表す単語として、「ジュヴナイル」「ヤングアダルト」といった単語も存在していたが、これらにも問題があった。
「ジュヴナイル」という名称は当時「子供〜思春期の少年少女」を対象とした文学作品、というイメージが固まっており、「ヤングアダルト」は「アダルト」の語感が仇になり、読者から直感的に避けられる傾向にあった。
そこで当時ニフティのFSFのシスオペである神北恵太氏(本名:内田英男)が「ライトノベル」という単語を考案した。
同時期に検討していた単語及びそのイメージは以下の通りである。
・ライト(light/lite) 軽い、軽やか……等
・ニート(neat) こざっぱりした、こぎれいな、品の良い、なめらかな……等
・ファースト(fast/first)速い・早く読めると「最初に読み始めるのに良い」をかけたもの
参考文献 ライトノベル「超」入門 新城カズマ ソフトバンク新書