棚卸資産の評価に関する会計基準@

 

 従来、棚卸資産の評価基準は、原価法が原則であり、低価法は例外とされてきたが、新しい基準においては、取得原価基準は、将来の収益を生み出すという意味においての有用な原価、回収可能な原価だけを繰り越そうとする考え方とみて、棚卸資産についても収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、品質低下や陳腐化が生じた場合に限らず、帳簿価額を切り下げるものと考えられるようになった。このように、収益性の低下した場合における簿価切下げは、あくまでも、取得原価基準の下で回収可能性を反映させるように、過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理とされる。
 収益性の低下の有無をどのように判断するかについては、棚卸資産は、販売によってのみ資金の回収を図るため、評価時点における資金回収額を示す正味売却価額が帳簿価額を下回る場合に収益性の低下があるものとし、帳簿価額の切下げを行うものとされた。これにより、通常の販売目的(販売するための製造目的を含む)で保有する棚卸資産の貸借対照表価額は以下のように取り扱うこととなった。


 
貸借対照表価額 = 取得原価

 取得原価 > 期末における正味売却価額の場合
 
⇒ 貸借対照表価額 = 当該正味売却価額(当期の費用 = 取得原価 − 当該正味売却価額)