平成20年10月10日
静態論
104-186 古賀 信吾
はじめに
近年、出版された財務会計の本の中で、静態論を扱っているものは少ない。だが、決して知らなくてもよいというものではないと私は考える。静態論は、すでに形骸化された会計思考なのかもしれない。だが、今日、重視されている資産負債アプローチに繋がる大事な考え方である。
静態論とは?
静態論とは、債権者保護のため、債務の弁済力を表示することを目的とし、財産計算が計算の重点に置かれる。
財産計算・・・財産−法的確定債務=純財産
利益計算
静態論においては、財産法により利益を計算する。財産法とは、期首の純財産から、期末の純財産の差額により利益を計算する方法をいう。
重視する財務諸表
静態論では、貸借対照表のみ重視する。これは、静態論における会計情報は、今現在、企業が解散した場合、どれだけの資産が手元に残るかのみ求められ、財務諸表作成時までの企業業績を、利害関係者(債権者)が必要としないからである。
貸借対照表の作成方法
静態論において、貸借対照表は棚卸法により作成する。棚卸法とは、決算日(作成時)における財産の実地棚卸を行い、財産目録を作成し、これ基づき貸借対照表を作成するほ方法である。