包括利益と純利益

 

1、包括利益とは
包括利益とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者たる株主、子会社の少数株主、将来それらになり得るオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう。

 

2、純利益とは
純利益とは、特定期間の期末までに生じた純資産の変動額のうち、リスクから解放された投資の成果であり、報告主体の所有者に帰属するものをいう。

 

3、包括利益と純利益との関係性
包括利益−リスクから解放されていない部分+リサイクリング=純利益


当社は、A社株式を5億円、B社株式を1億円で購入した。
その後、A社株式を10億円で売却した。
今現在、手許にあるA社株式の時価は、2億円である。

包括利益・・・6億円
A
社株式:収益10億円−費用5億円=利益5億円
B
社株式:収益2億円−費用1億円=利益1億円

純利益・・・5億円
A
社株式:収益10億円−費用5億円=利益5億円
B
社株式:売却していないため、収益として捉えない。


〔純利益と包括利益の並存〕
21.
純利益の概念を排除し、包括利益で代替させようとする動きもみられるが、この概念フレームワークでは、包括利益が純利益に代替し得るものとは考えていない。現時点までの実証研究の成果によると、包括利益情報は投資家にとって純利益情報を超えるだけの価値を有しているとはいえないからである。これに対し、純利益の情報は長期にわたって投資家に広く利用されており、その有用性を支持する経験的な証拠も確認されている。それゆえ、純利益に従来どおりの独立した地位を与えることとした。
22.
この概念フレームワークにおいては、純利益と並んで包括利益にも、独立した地位を与えた。
今後の研究の進展次第では、包括利益にも純利益を超える有用性が見出される可能性もあるからである。
また、純利益に追加して包括利益を開示する形をとるかぎり、特に投資家を誤導するとは考え
にくいこともあり、国際的な動向にあわせてこれを構成要素の体系に含めておくこととした