1、趣旨

 法人税では交換を交換譲渡資産の時価を対価とする譲渡取引と考え、交換譲渡資産の交換時の時価が資本等取引以外の取引に係る収益の額として益金の額に算入される。また、交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額及び譲渡経費の額は原価の額及び費用の額として損金の額に算入される。したがって、法人税では、交換による譲渡益は原則として課税所得を構成することとなる。しかし、一定の要件を満たす交換については、一時の課税を避けるため、次のような理由から、課税の繰延措置として、圧縮記帳が認められている。

(1)   交換が通常の金銭の授受を伴わないため、その譲渡益は法人にとって名目的な利益に過ぎず、担税力がない。

(2)   取引の実質的な効果が同一資産を継続して所有していることと変わらない。

 

例、時価が1,000円同士の交換(交換譲渡資産の時価1,000円、簿価450円、譲渡経費150円)

現金1,000 / 譲渡収益1,000

譲渡減価450 / 交換譲渡資産450

譲渡経費150 / 現金150

交換取得資産1,000 / 現金1,000

圧縮損400 / 交換取得資産400

2、内容

(1)   適用要件

@     譲渡資産

1年以上所有していた固定資産であること

A     取得資産

イ、相手が1年以上所有していた固定資産(交換のために所得したものを除く。)であること。

ロ、譲渡資産と種類を同じくする資産であること

ハ、譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したこと

B     時価の差が20%以内

取得資産の時価−譲渡資産の時価≦いずれか多い時価×20%

(2)   経理要件

  直接減額方式のみ認められる。

(3)   圧縮限度額

 

参考URL

総務省行政管理局「法人税法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO034.html