平成21年12月18日
104-186 古賀信吾
1、自己株式とは
企業が、所有する当該企業の株式である。別名、金庫株(手元の金庫にしまっておくことから)ともいう。
2、現状
自己株式の取得は、原則として禁止されてきた。しかし、平成13年の商法改正により、解禁された。
3、表示方法
@資産説
自己株式は、取得しただけでは株式は失効してはおらず、他の有価証券と同様に換金性のある会社財産として、資産として扱う。
A資本控除説
自己株式の取得は、株主との資本取引であり、報告主体の所有者に対する会社財産の払い戻しと考え、資本の控除項目とする。
4、禁止の理由
平成13年改正前は、会社が自社の発行した株式(自己株式)を取得することは原則禁止とされ、例外的に、合併、従業員への譲渡(ストック・オプション)のため等、法律が定める一定の事由がある場合に限って自己株式の取得が許容されていた。
また、例外的に自己株式を取得する場合でも、取得する株式の数量規制のほか、原則として相当の時期に処分すべきとして、その保有期間も規制されていた。
自己株式の取得が原則禁止とされていたのは、主に次の理由による。
@ 自己株式の有償取得は、実質的に出資の払戻しとなり、会社債権者を害する。つまり、会社への出資は株金の支払いという形でなされるが、自己株式の有償取得は、会社財産で株金相当額を株主(譲渡人)に支払うことであり、会社債権者の引当てとなる会社財産が害される。
A 自己株式を取得する場合、一部の株主から会社が恣意的に高く買い受ける等、方法と価格によっては株主平等原則を害するおそれがある。
B 株価の操縦やインサイダー取引*に利用されるおそれがある。
C 自己株式の取得により議決権を有する株式の割合を減少させることで、不当に経営権の維持を図るおそれがある。