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岡崎正尚
<刑務所内部の処遇と医療の現在>
1・厳正独居処遇
集団生活に不適合な受刑者を単独房に収容して処遇することを指す。期間は6ヶ月と定められ、延長は可能であるが、三ヶ月ごとに見直される。殆どの時間を三畳一間の空間で、孤独に過ごす。作業道具を渡され、房内で作業を行なう。休息、余暇、食事、就寝も、この房で取る。他人と会話するときは、朝、刑務官が見まわる時のみである。運動、入浴が週二〜三回交互に実施される。運動は六畳ほどの場所で30分、入浴は15分である。一日15分新聞を読むことが出来る。テレビを見ることは出来ず、行事に参加することも不可能である。懲罰中の囚人と違うのは、作業、面会、通信が認められることぐらいである。
↓
不利益処遇であるが、人間関係のストレスからの逃避など、受刑者の目的のために利用される可能性もある。利用防止のため、累進級、仮釈放申請、作業賞預金などに対する処遇が、加えられている。
↓どの様な囚人が対象になるか
・他のものと共同生活が出来ない、特異な性格の囚人。
・暴力傾向、治安を害する傾向のある囚人。
・他の者から精神的、身体的圧力を受けやすい囚人。
精神障害を発症している囚人も、厳正独居処遇となっているケースがある。
↓具体的には
・痴呆老人・・・・最近増えつつある。万引きや無銭飲食が多く、ホームレスが多い。意思の疎通は不可能な場合が多い。
・覚醒剤後遺症・・・・幻聴幻覚があり、騒ぐものも多い。妄想を抑える薬を投与し続ける以外ない。意思の疎通は可能だが、感情の起伏が激しい。
・身体障害のある者・・・・職員の負担は大きい。
2・精神障害受刑者の処遇
精神障害受刑者の場合
治療の拒否・・・・病識が無いため。
治療の効果・・・・投薬を続けるしかない。強固な幻聴幻覚には効果が無い場合もある。措置入院させる方法もあるが、刑務所の方が縛られないだけまし、と、受刑者の印象は良くないようだ。カウンセリングは強固な幻覚妄想に対し、効果が無い。
↓出所に際し
出所後の措置入院は、自傷他害の可能性がある場合のみ認められる。しかし、それは100%予見できるわけではない。
↓出所後
仮釈放は改悛の情があるもののみに認められるが、精神障害犯罪者はこれに当確しないものが多く、満期釈放され、その結果、措置入院とならない限り、出所後のケアがつかない。
<参考文献>
刑務所の風景・浜井浩一・2006年10月