2007年6月22日

104−098

岡崎正尚

 

<被害者参加等の制度について>

平成19年3月13日、国会に提出された。

 

*同法律の概要

(1)被害者参加

・被害者参加人として公判に出廷

・検察官への権限の意見。検察官は意見を陳べた者への説明の義務を負う

・情状について、証人尋問を行なうことが出来る

・被告人質問も可能

・証拠調べ後に弁論を行なえる(求刑)

・証人、被告人、傍聴人から遮蔽措置を取ることができる

(2)犯罪被害者等に関する情報の保護

・性犯罪などの被害者から申し出があった場合

・被害者に危害が加えられる恐れがある場合

裁判で被害者の氏名等の情報を公開しないことが出来る。

(3)民事訴訟における付添人、遮蔽措置、ビデオリンク

(4)公判記録の謄写、閲覧

・被害者には原則認められる。また、余罪についても必要な場合は可能となる。

(5)賠償命令

・業務上過失致死傷を除いた事件の被害者は、当確事件の弁論終結までに損害賠償申立を当確裁判所に申立できる。

・刑事被告人の有罪言い渡しがあった直後に審理を開く。四回以内の期日に結審せねばならない。刑事裁判を担当した裁判所で審理し、刑事裁判記録の必要な物を取り調べる。必要と思われるときは、仮執行宣言(財産権上の請求権に関する判決において、判決確定前であってもその判決に基づいて仮に強制執行をすることができる旨の宣言)をすることが出来る。

・関係者は、二週間以内に異議を申し立てることが出来る。異議申し立てが無い場合、確定判決と同等の効力を持つ。

・四回以内の期日で修了させることが困難であった場合、裁判所は損害賠償命令事件を終了させる事ができる。また、申立人が民事訴訟への移行を求めた場合、通常民事訴訟手続きへと移る。

・手数料は2000円

これらが、主な内容。

 

*他国では?

・ドイツにおける被害者参加制度は、概ね日本と同じである。

・被害者参加制度のあるドイツ・フランスでは、裁判所は、日本と違い、職権主義、つまりは、裁判所が積極的に証拠調べを行なう制度と成っている。裁判所の訴訟指揮が強力、という事である。

・イタリアでは、日本と同じ構造である。しかし1989年まで職権主義を行なってきた。

・ドイツでは、1985年から、被害者と加害者の和解のためのプロジェクトが進められ、1994年に、法律として規定された。

・ドイツ、フランス、イタリアでは、死刑を廃止している。終身刑とはいっても、フランス、ドイツでは20数年で出られる場合が多い。

 

<参考文献>

www.jlaf.jp/jlaf_file/070510higaisya.pdf

www.sangiin.go.jp/japanese/annai/kounyu/20070420/20070420017.pdf