2007年12月7日

104−098

岡崎正尚

 

<高齢犯罪者への矯正教育>

(高齢受刑者の特徴)

・類別処遇内の類型には、若年時から比較的軽微な犯罪を繰り返し社会と刑務所の行き来を繰り返して高齢に成った者、中年以降に大きな犯罪を犯し服役し仮釈放されて高齢になっている者、高齢のため自立した生活の維持が困難になり公的な生活援助を必要とする者、の三タイプが存在する。

・平成17年の段階で、一般刑法犯に占める高齢犯罪者の割合は、10,9%と増加した。多くを占める罪名は、窃盗と占有離脱物横領。

・要因としては、経済的困窮、福祉制度の不備、心理的負担の増大、社会的孤立などが考えられる。

・高齢者の囚人の多くを占めるのは、若い頃から犯罪を繰り返してきた累犯者。入る回数を重ねるにつれ、罪名は窃盗や詐欺に収斂していく傾向がある。再犯期間も次第に短くなる。

・満期出所者は再犯率が高い。

・出訴の際、旅費や衣服の給与などの保護を受ける必要のある者も増加中。故に、刑事施設内において、出所後の受け入れ先の確保に努める必要がある。

・出所後も加療が必要な受刑者は増えている。

・無職、貧困な者が多く、更正に当たって障害となりやすい。

(処遇)

・処遇の特則は設けられていないが、相応しい処遇をするように法律上定められており、健康の維持・管理には特に気を使っている。

・養護配慮必要な者は、収容区画を設定して、日常生活、作業を行なわせている。

・設備面でも、滑り止めマット、バリアフリー化などを行なっている。

・心理的な面では、老いに伴う心境の変化を理解してかかわっていく事が必要。

・アルツハイマーなどの脳の機能障害、身体的機能障害、高齢期に至っての人格障害の発症などが処遇面で絡んでくる事もあり、これらを理解した上で対処するよう心掛けている。

・知能レベル、人格を測定する事で、障害の発見に努めている。

・人間関係調整能力を身に着けさせ、生きがいを与える事が更正に重要な意味を持つ。

 

<参考文献>

『犯罪心理臨床』・金剛出版・2007年9月10日