2007年11月9日

104-098

岡崎正尚

<非行少年処遇への被害者の視点の導入>

*被害者理解を難しくしているもの

・非行少年は自己イメージが不確かで自己理解が進まず、他者理解に進む事は困難である。

・現在のシステムは、被害者と加害者が接点を全く持たないまま、間接的に伝わる情報から相手に対する不信を募らせる状況である。

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加害者にとっては、被害者をリアルにイメージする事が出来ず、憎しみを抱いたまま加害者を許すことはありえない、という被害者像が膨らみ続け、自己イメージを低めてしまう。こうした事で、被害者理解の指導が再犯の歯止めとならない可能性も秘めている。

*どの様に教育が行なわれているか

1:人間力を鍛える指導

自己肯定感の醸成・・・・非行少年の多くは、トラウマを抱え、ネガティブな感情を内面に封印してきている。やせ我慢し、正面切って自分の非を認めない傾向。教官は、話を聞く事からはじめる。こうする事で、少年の自己肯定感は高まり、自分の弱さと向き合う条件が整えられる。

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聴くこと、同調すること・・・・他者に配慮できる態度形成。相手に合わせて行動できるように訓練を行なう。

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自分の弱さと向き合う・・・・失敗を通じて自己理解を深めるようにする。

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健全な自我を膨らませる・・・・他者との共感的理解、適切な自己表現能力を身に着けさせる。集団生活、グループワークを通じて獲得。

2:罪障感を深めさせる指導

自己の弱さと向き合わせる・・・・入院から出院までの一貫した個別指導。日記、課題文作成、読書、面接、対話ノートなど。こうした事で、自己洞察深める。

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自覚と責任感を高める・・・・進級すれば、責任ある役割を与える。

*方針

・許しを得るための謝罪からの転換

・育てなおしとしての矯正教育と居場所作り

<参考文献>

『犯罪心理臨床』2007年9月10日・金剛出版・生島浩、村松励、編