2007年10月5日

104−098

岡崎正尚

 

<拘禁状態が受刑者に及ぼす影響>

拘禁反応とは・・・・刑務所や拘置所に拘禁中の人間に見られる、拘禁という状況の影響を受けた心因性反応。傾向はともかく、発生理由に対しては、罹患者の性格や生育歴との間に因果関係は示されていない。原因は、罹患者の成育歴ではなく、拘禁という状態に求められる。

・・主な症状・・

1・原始反応・・・・感情の爆発等

2・ヒステリー状態・・・・譫妄性錯乱状態を示し、幻聴幻覚幻視興奮といった症状も起こる。

3・慢性妄想・・・・自分は無罪である、といった妄想を抱く。被害観念強い。

4・気分障害・・・・抑鬱、多幸症、躁鬱状態。

5・神経症状態・・・・精神衰弱的状態。

他には、抑鬱精神系症状、感情鈍磨を示す場合がある。無期囚に多い。

・・どのような人間に多いか・・

1956〜7年における調査の結果

一般被告=0,87%

一般受刑者=0,16%

死刑囚=61%

無期囚=71%

重罪被告(死刑か無期の可能性)=68%

・・それぞれのタイプ・・

重罪被告人・・・・原始反応、ヒステリー状態、慢性妄想

死刑囚・・・・重罪被告人の症状の継続と思われる感情の活発性。感情の起伏が激しい。

無期囚・・・・抑鬱精神系症状や感情鈍磨。感情の起伏はせまく、無感動。職員には従順。関心は身の回りに限定され、単純な受刑生活に飽きない。自主性の欠如と拘禁者への依存。

         ↓なぜか

重罪被告人・・・・裁判に影響される不安定な身分が精神に影響

死刑囚・・・・刑の執行への恐怖。体感時間の圧縮。

無期囚・・・・生活を全て管理される状況に対する依存。長期囚においては、刑務所内の反則は最初の数年のみであり、次第に模範囚となる。また、これから膨大な時間を刑務所内で過ごさなければいけないため、逃避的反応として、感情が鈍磨する。

・・拘禁状況の性格への影響・・

例・戦後強盗致傷と戦時強姦致傷で、11年間服役した元無期囚は、妻子に再会し近所の人がよくしてくれたにも拘らず、社会生活が怖く、窃盗を働いて、またもや無期囚になった。他人との折り合いはよく作業にも熱心だが、卑屈で物事への関心が狭い。無期囚となる前は活発な性格だった。

 

・・参考文献・・

死刑囚と無期囚の心理・小木貞考・