2007年10月19日
104−098
岡崎正尚
<民営刑務所について>
美祢社会復帰促進センターが設置される事が決定されたのは、平成16年のことである。設置理由は、「犯罪情勢等の悪化に伴う」過剰収容であった。「国民に理解され、支えられる刑務所」を理念としている。
2007年4月1日、 日本で初めて「民間資金を活用した社会資本整備(PFI)方式」を取り入れた刑務所「美祢社会復帰促進センター」が開所した。警備会社「セコム」などの企業グループがつくる特別目的会社「社会復帰サポート美弥」が建設から運営までを担う、いわば「民営刑務所」。刑務所の新設は1983年の北海道・月形刑務所以来24年ぶり。
*体制
・初犯の男女各500人、計1,000人を収容する。
・居室の窓に鉄格子はなく、強化ガラスが採用。看守は原則として受刑者の移動に立ち会わない。代わりに、受刑者の上着にICタグをつけ、行動を把握できるようにした。
・国と民間事業者との間で1週間に1回,運営協議会を通し,運用状況を検証する。この検証内容を外部に発表するか否かは今後の検討課題である。
・引受人がいない男性受刑者を受け入れない。女性受刑者についてはかかる制限はないため,帰住先・就職先の引受先を見つける支援をする予定。
・受刑者の受け入れ条件について。男性については
@準初犯を除く初犯者
A他人の生命又は身体,精神に回復困難な損害を与える犯罪を犯した者ではないこと(殺人,強盗殺人,強盗,強姦等の犯罪者は除くということ)
B執行刑期が概ね懲役1年〜5年程度
C概ね26歳以上60歳未満
D心身に著しい障害がないこと
E集団生活に適応できること
F引受人がいるなど帰住環境が良好であること
G同一の職又は職場で3年以上勤務した経験があること
女性については,@,Dの条件を要する。
*運用上の特色
・事業の維持、運営期間は、平成19年4月〜平成37年3月である。直、事業者は、運営終了時にも施設を適切な形で保持していなければいけない。
・事業は、労働、福祉、建築関連の法の他、監獄法を遵守せねばならない。
・事業の範囲は、施設設備の維持管理、施設運営(作業など)である。
・作業や職業訓練の内容に、民間企業は、作業を委託する企業の確保,作業製品の品質管理及び技術指導,労働安全衛生管理,公害発生防止対策と言った面で関与する。受刑者の作業として,製造,農業,福祉の分野の作業を予定している。
・刑務作業として、受刑者にソフトウェアを作らせる。この計画を立ち上げたのは、刑務所まわりの業務に特化したベンチャー企業「プリズニーズ」。07年5月1日に発表された。同社からSE(システムエンジニア)を2人送り込み、選抜された受刑者60人に対して4ヶ月にわたってプログラミング言語「ルビー(Ruby)」に関する教育を行う。 今回は、出所後の就職率が特に低い女性受刑者のみが教育の対象だが、男性受刑者への教育も予定。
・コンピューターからインターネットに接続は出来ないようになっている。プログラムを身に着けた受刑者は、出所後、社員として雇う予定。
・受刑者によってはヘルパー等の資格が得られるような講習も予定されている。
・受刑者が逃亡した場合、捜索は官民共同、連れ戻しは刑務官が行なう。
・受刑者の情報は民間企業が共有し、守秘義務を課せられる。
・・参考文献・・
http://www.j-cast.com/2007/05/01007306.html
http://www.yamaguchikenben.or.jp/yamben/yamben_8.html
http://www.moj.go.jp/KYOUSEI/MINE/mine02.pdf