2007年10月12日

104−098

岡崎正尚

 

<刑務所での暮らし>

まず、分類房(独居)に入れられ、髭をそられる。

             ↓

分類によって、雑居房か独居房かに分かれる。拘置所で懲罰を受けたか否かが重要視される。処遇困難と考えられれば独居房となる。

(囚人の分類法)

*作業量による分類

この何れの作業に点くかで、支給される食べ物が異なる。

・軽労作・・・・袋張り、割り箸の袋詰めなど。居房内での作業。

・中等労作・・・・木工細工、皮加工など。

・比較的重労作・・・・金属・電気工業など

・重労作・・・・土木工事など

*作業能力による分類

・見習い工から一等工まで十段階に分けられている。昇等標準期間は、等によって違う。昇等とともに分類級はアップし、作業賞預金も上がる。

・また、囚人の等級には4〜1級があり、これは態度などを考慮し上昇する。作業のノルマが果たせないと低いままである。

・4級は作業賞与金を5分の一しか使えない。1級は2分の一まで使える。

・自己労作につけるのは2級以上。

・クラブ、レクリエーション参加可能は3級以上。

・一級は手紙、面会、随時に行なえる。土曜祝日、公務員の休暇日除く。看守の立ち会わない特別面会を許可しているところもある。

・二級は手紙の発信、面会ともに週一回。三級は月二回、四級は月一回だった(平成13年当時)。しかし、現在では、面会制限ある場合でも月2回を下回ってはいけないとされている。また、手紙の発信については、制限がある場合もつき4回を下回ってはいけないとされている。

・一級は房内検査と裸体検査を免除される。

・集会への参加は、一級は月二回、二級は月一回、三級は二ヶ月に一回。四級は参加できない。

・房内所持品では、万年筆、日記帳、書画、花瓶、草花、シャンプーは一級だけに所持が許されている。

・一級は独居房である。

・こうした等級は、仮釈放に影響する。無期懲役で4,3級であれば、仮釈放はほぼありえない。

*作業能力と目的による分類

・生産作業・・・・収入を得るための労働。受刑者の7割以上が従事

・経理作業・・・・監獄の運営に必要な作業。全受刑者の二割。最初から7〜6等工。

・職業訓練・・・・実際にその機会を与えられる囚人は少ないらしい。平成17年度(会計年度)においては,溶接,電気工事,自動車整備,建築,印刷,木工,建設機械,ホームヘルパー等の22種目の職業訓練が実施され,2,141人がこれを修了し,溶接技能者,電気工事士,自動車整備士等の資格又は免許を取得した者は,総数で2,530人であった(法務省矯正局の資料による。)

・自己労作・・・・作業賞預金を稼ぐための請願労働。

(罰の種類)

 戒告

 第七十二条の規定による作業の十日以内の停止

 第十八条の規定による自弁の物品の使用又は摂取の一部又は全部の十五日以内の停止

 書籍等(被告人若しくは被疑者としての権利の保護又は訴訟の準備その他の権利の保護に必要と認められるものを除く。次条第一項第三号において同じ。)の閲覧の一部又は全部の三十日以内の停止

 報奨金計算額の三分の一以内の削減

 三十日以内(懲罰を科する時に二十歳以上の受刑者について、特に情状が重い場合には、六十日以内)の閉居

*閉居罰の内容

以下の行為を禁止する。

 第十八条の規定により自弁の物品(刑事施設の長が指定する物品を除く。)を使用し、又は摂取すること。

 宗教上の儀式行事に参加し、又は他の受刑者と共に宗教上の教誨を受けること。

 書籍等を閲覧すること。

 第六十九条第一項に規定する自己契約作業を行うこと。

 面会すること(弁護人等と面会する場合及び被告人若しくは被疑者としての権利の保護又は訴訟の準備その他の権利の保護に必要と認められる場合を除く。)。

 信書を発受すること(弁護人等との間で信書を発受する場合及び被告人若しくは被疑者としての権利の保護又は訴訟の準備その他の権利の保護に必要と認められる場合を除く。)。

また、健康を害しない程度に運動も制限される。

(食事)

*平成18年度(会計年度)では,療養中の場合、1日の副食費は,成人受刑者一人当たり421.50

(囚人の労働状況)

*一日、日曜祝日を除き8時間労働。

*収入の大半は国庫に入る。

*平成17年度(会計年度)における一人1か月の平均作業賞与金計算高(予算額)は,約3,833円であった(法務省矯正局の資料による。)。また,17年の出所受刑者が出所時に支給された作業賞与金の金額を見ると,5万円を超える者が27.4%であり,1万円以下の者が23.1%であった(矯正統計年報による。)

(生活)

7時起床→10分で床上げ、清掃、検査→7時20分、出労し工場へ。7,8分で食事→7時40分、獄舎の外に整列。歩調を合わせ、軍隊式行進をせねばならない。→7時50分、作業開始→9時45分、15分休憩→10時に作業再開。12時〜12時40分、昼食と休憩。→12時40分〜14時15分、作業。暑い日は、14時からの作業時間に汗拭きが可能。→14時15分〜30分、休憩。→14時30分〜16時30分、労働。→16時35分、帰房。→16時50分、夕食→17時20分、夕点検→17時20分〜18時30分、余暇→18時30分、就床→18時30分〜21時、余暇→21時、消灯。

*休日は、7時30分起床。朝点検、朝食も30分遅くなる。作業は休みで、余暇のように過ごす。テレビも見られる。3級以上は、クラブやレクリエーションに参加できる。

*俳句会、短歌会、作文教室がある。月一回のレクリエーションもある。

*行状優秀な者は教育を受けられる。大半は自費である。

*教誨活動は刑務所内でも行なわれている。

*房内の検査も抜き打ちで行なわれる。猥褻な絵や文、看守への中傷は処罰の対象となる。

*外部交通の相手は親族と、更正に資する者。また、事情がある場合はそれ以外でも許される場合があるらしい(どのような運用かは不明)。

(拘禁形態)

*夜間独居

*昼夜雑居

*昼夜独居

*独居拘禁

(医療)

*医療スタッフの定員は、平成17年4月1日現在,医師226人,薬剤師37人,栄養士18人,診療放射線技師20人,臨床・衛生検査技師16人及び看護師256人の合計573人である施設は平成17年においては191ある。

*医療は、自費と公費の場合がある。

*毎年一回以上の健康診断

*虫歯を治療してくれないケースもあったらしい。

*最近の報道に見る医療

平成19年8月23日

23日午前5時30分ごろ、大阪刑務所(堺市堺区)の病棟で、30歳代の男性受刑者がぐったりしているのに巡回中の刑務官が気付き、病院に搬送したが、約1時間半後、死亡が確認された。熱中症とみられ、堺北署が調べている。
 同刑務所によると、男性受刑者は19日夜、独居房で体温が41・7度まで上がり、熱中症の疑いがあると診断された。冷房設備のある病棟で点滴を受けるなどしたところ回復したため、22日午前、冷房のない病棟に移っていた。独居房では、飲み物は希望すれば飲めるが、扇風機などはなかったという。
 同市は11〜22日の間、最高気温が35度を超える猛暑日が続いていたが、22日夜から23日未明にかけて降雨があり、最低気温は22・7度まで下がっていた。
 矢鳴正志・同刑務所調査官の話「対応に問題はなかったが、今後、より健康管理に注意したい」

刑務所で542人食中毒/広島、受刑者の3分の1

2007/08/02 19:29

 広島市は2日、広島刑務所(中区)で給食による集団食中毒があり、受刑者1559人の約3分の1に当たる542人が下痢や腹痛を訴えたと発表した。いずれも軽症で快方に向かっているという。給食は受刑者約30人が所内の調理場で調理している。市は2日、調理業務の禁止を命令した。市によると、刑務所から連絡があったのは1日昼すぎ。1日の夕食はレトルト食品などを使い、2日以降は外注の弁当で対応しているという。広島刑務所では2003年4月にも337人の集団食中毒が起きている。中山厚所長は「受刑者の健康管理、給食衛生管理の徹底を図り再発防止に努めたい」とするコメントを発表した。

京都刑務所の収容者が下痢や吐き気 ノロウイルス検出

200701181128

 京都市山科区の京都刑務所(約1900人収容)で9日以降、収容者約230人が下痢や吐き気などの症状を訴え、18人の便からノロウイルスが検出されたことが分かった。発症者は全員、病棟に移し、17日現在で46人が治療を受けている。いずれも軽症で快方に向かっているという。

 同刑務所によると、9日に約20人が下痢などの症状を訴えた。同刑務所は「食中毒ではなく、面会人などを介した感染ではないか」としている。

2007/04/09

千葉県市原市の市原刑務所(池田典幸所長)で、受刑者480人のうち127人が 食中毒とみられる症状を訴えていたことが9日、分かった。症状はいずれも軽く、 快方に向かっているという。市原保健所は刑務所の給食施設を原因施設と断定、 使用停止2日間の行政措置とした。

20070805

刑務所でも医師不足。1人もいない刑務所も8箇所に上る。

塀の中でも医師不足法務省調べ
 全国に75か所ある刑務所・拘置所のうち、20か所の常勤医が4月1日現在で定員割れとなり、1人もいない刑務所も8か所に上ることが法務省矯正局のまとめでわかった。2004年4月に新たな臨床研修制度が導入されてから、医局勤務医が少なくなった大学が医師派遣を取りやめるなど、一般病院と共通する問題も背景にあるとみられている。
刑務所・拘置所75か所の常勤医の総定員は226人だが、欠員は28人と1割以上も不足している計算になる。法務省組織規程で各刑務所・拘置所に医師である医務課長1人を常駐させるよう定めているほか、各施設は収容人数などを基に定員を決めている。しかし、定員3の千葉(千葉市若葉区)、定員2の長野(長野県須坂市)両刑務所などでは、常勤医が1人もいない。
常勤医が定員に満たない刑務所では、119番通報して受刑者を周辺の病院に救急搬送する事態が増加。緊急を要さない場合も、刑務官ら職員を緊急招集して外部の病院に付き添わせたりするケースも多い。
千葉刑務所では、常勤医がいなくなった4月に病院へ付き添った職員が延べ177人に上った。大当紀彦・総務部長は「常勤医がいれば、夜間でも対処の仕方を指示してもらえるのだが……。職員の負担も大きい」と話す。千葉刑務所では今年5月になって、常勤医1人を確保した。
名古屋矯正管区によると、今年4月から常勤医ゼロとなった富山刑務所でも、6月末までの3か月間に受刑者が病院に治療に行った事例が63件と、昨年同期からほぼ倍増した。30年以上前から富山大などの医師派遣を受けていたが、大学側に「勤務医が不足する中で一般病院への派遣も大変で、余裕がない」として打ち切られたという。
受刑者約500人を収容しながら、3年以上も常勤医ゼロが続く帯広刑務所でも、札幌医大が医師派遣を打ち切ったことがきっかけ。武田薫・総務部長は「知り合いの医師らを通じて、手探りで募集をしているが全く応募がない」と頭を抱えている。
名古屋矯正管区によると、常勤医は兼業が禁止される国家公務員であることに加え、暴力団関係者らから暴言を吐かれるケースもあり、敬遠される傾向が強いという。
法務省矯正局では04年度、全刑務所に近隣の医療機関や自治体などと「行刑施設の医療に関する協議会」を設置。医師を募集するほか、非常勤医師の派遣や急患の受け入れを要請しているという。しかし、矯正局では「特に地方の医師不足は厳しい状況で、事態はなかなか改善されない」と話している。

<参考文献>

『ニッポン監獄事情』・2002年・佐藤友之

『犯罪白書平成18年度版』

http://law.e-gov.go.jp/announce/H17HO050.html