犯罪者プロファイリング 第1

 

犯罪者プロファイリング(profiling)とは

 犯罪現場の分析から犯人の主要な人格特徴や行動特徴を特定する手法。行動科学を応用し、事件に関する情報分析から可能性の高い犯人像を導き出す。

 また、行動科学とは心理学、社会学、精神医学、人類学などの諸科学の連係のもとに、人間の行動に関する一般法則を見出し、行動の予測や制御を行おうとする学問である。

 プロファイリングの方法は大きく分けて二つある。個別の事例を綿密に探ることで行為者の内面に迫る「事例研究」(FBI方式)と、多数の客観的データを処理して行為者の行動傾向を明らかにする「数量的研究」(リバプール方式)がある。

 

プロファイリングの基礎理論

@ ルーティン・アクティビティ理論(routine activity theory

 同じ時間、同じ空間に、@動機づけられた犯罪者、A適当な犯行対象、B抑止力のある監視者の不在という三条件がそろったときに犯罪が起こりやすい。

犯罪者も他の人と同じように、予測可能で習慣的な行動をすることが多い。犯行場所まで移動する行程は、職場や買い物に出かけるのと似ており、それらと同様の制約を受ける。よって、犯罪の発生地点は犯罪者の日常の活動パターンの時間的、空間的な痕跡をとどめる。

 

A 合理的選択理論(rational choice theory

犯罪者が、犯行を実行する際に考慮するのは、@犯行が成功する可能性、A犯行の成功による利得の量、B犯行が失敗し、逮捕される可能性、C犯行に失敗したときの刑罰の重さ、である。

 

B 犯罪パターン理論

 ほとんどの犯罪者は犯行場所を行き当たりばったりで選択しているのではなく、また、被害者が偶然に選ばれたとしても、その偶然の選択は空間的に構造化されている。

 

C ファセット理論

 ファセットとは現実のデータに基づく、犯罪(事件)と犯罪者の多面的な側面のことを言う。

 犯罪も対人行動であるという見方をすれば、犯罪以外の社会生活における対人関係のあり方と共通するものがある。ある罪種に関して一定数の過去の事件データを収集して、それを分析することによって、一定の行動特徴を持つ犯罪者には、特定の共通する特徴がある。

 

@〜BをFBI方式、Cをリバプール方式ともいう。

 

参考文献

渡辺昭一 (2005) 『犯罪者プロファイリング』、 角川書店