被害者支援
犯罪被害者保護法 (2000)
刑事裁判での被害者の、優先傍聴、裁判記録の閲覧・謄写が可能となった。
犯罪被害者等基本法 (2004)
犯罪被害者やその家族のための総合的な支援策について、基本理念や取り組むべき基本施策示した法律。国や地方公共団体が取り組むべき基本施策は、
①
相談及び情報の提供等
②
損害賠償の請求についての援助等
③
給付金の支給に係る制度の充実等
④
保健医療サービス及び福祉サービスの提供
⑤
安全の確保
⑥
居住の安定
⑦
雇用の安定
⑧
刑事裁判に関する手続きへの参加の機会を拡充するための制度の整備等
⑨
保護、捜査、公判等の過程における配慮等
⑩
国民の理解の増進
⑪
調査研究の推進等
⑫
民間の団体に対する援助
⑬
意見の反映及び透明性の確保
被害者名の発表
政府は二次被害防止のため、警察が被害者の名前の実名・匿名を個別に判断し発表する方針を打ち出した。これに対し日本弁護士連合会や日本民間放送連盟、日本新聞協会が、匿名事実だと事実の検証ができなくなるなどとして反対する意見書を出した。
被害者の刑事裁判参加
犯罪被害者は裁判で、意見陳述はできるが、基本的には傍聴席で聴くだけで、被告人に反論したり、直接問いただしたりすることはできない。全国犯罪被害者の会は、被害者や遺族が訴訟参加人となり刑事裁判に直接参加することを求めてきた。
法務省や日本弁護士連合会は、被害者が検察官と別の主張をすると、混乱し、被告人が両方に反論しなければならなくなるなどの理由で直接参加には反対している。
Post Traumatic Stress
Disorder : 心的外傷後ストレス障害
→アメリカでは1970年代のベトナム戦争以降、日本では阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件がきっかけで注目されるようになった。
1.
記憶が突然呼び起こされてその時に引き戻されてしまい、日常生活が阻害される。
2.
思い出させる現実を回避するようになったり、不信感が強くなったり、感情が麻痺したりする。
3.
過度に覚醒した心の緊張が続いて眠れない。
等の症状がある。犯罪被害によるPTSDの場合には、さらに次のような症状がある。
1.
好奇の目や、哀れみや同情を受けるため、被害を恥ずかしいと感じる。
2.
事件の原因はこちらにもあったと不当に自分に責めてしまう。
3.
自己評価が下がり、自尊心を失って無力感に陥る。
4.
激しすぎる怒りによって孤立してしまう。
5.
汚れてしまったと感じる。性犯罪被害者などが持ってしまう感情。
6.
性への恐れ、性欲減退など。
7.
周囲からの中傷や、マスコミ報道などによる心の傷。
8.
加害者に同情してしまう。ストックホルム症候群など。
ストックホルム症候群とは1970年代前半に誕生した言葉。1973年8月23日にスウェーデンの首都ストックホルムで起きた、銀行立てこもり事件がこの言葉の誕生の原因となった。4人の人質の、犯人に対する複雑で難解な心理状態を指すための言葉で、彼らは被害者になったにも関わらず長い期間(6日間)犯人と時間を共にすることによって、最終的には犯人に対して連帯感、親近感、同情を感じて犯人逮捕の際、彼らは警察を非難し、犯人を支持した。
参考文献
編集者 福田和郎 (2006) 『朝日キーワード 2006』、 朝日新聞社
碓井真史 (2000) 『なぜ「少年」は犯罪に走ったのか』、 ワニのNEW新書
参考URL
http://2.csx.jp/~counselor/stockholm
http://www8.cao.go.jp/hanzai/kihon/hou.html