かくばかりいつわり多き世の中に                                                

 

尊属殺害

子どもの心には、優しい「よい親」のイメージと、怖い「悪い親」のイメージができている。成長するにしたがって2つのイメージが融合していく。すると、優しい良い親だけれども、ときには叱ることもあるのだと理解できるようになる。親とケンカをして悪態をつくことがあっても、心の底では親を愛し続けることができる。

ところが、イメージの融合に失敗することがある。自分を叱る親、干渉しすぎる親は、徹底的に「悪い親」だとしか思えなくなる。人は親のような、自分にとって頼りになる大切な人(依存対象)から冷たくされたり、裏切られたりすると、激しい悲しみとともにうらみの感情がわき起こり、ときには殺意まで抱いてしまう。

また、過度に甘やかされて「良い親」しか知らない場合は何でも自分の思い通りになると考えるようになってしまう。

 

非行

 以前の非行少年の家庭は病理を抱えていることが多かった。父母の欠損や貧困などがそれである。これらの病理が、子どもの社会化、情緒の安定、心身の保護・育成に決定的に重要であると考えられていた。

ところが最近では一般的な家庭の子どもが非行に走るケースが増加している。これには溺愛・過保護や、両親の、子どものしつけに関する方針の食い違い等がある。

 

家庭内暴力

 親との関係、教師との関係、近隣との関係等の現代の養育環境の悪化の要因が全て凝縮しているのが家庭内暴力である。

家庭内暴力の起こる家庭は、親が普段から近隣との交わりを避ける生活をしている。そのため事が生じても、近隣に相談できず、必然的に強い共存関係が長く続いてしまう。

 この共依存のなかで暴力が使われる理由は2つある。

1つ目は、体力が親を上まわり、暴力をちらつかせると親が怯える様が見え、手段としての有効性が子によめること。2つ目は、家庭生活の中では、自分の意見、主張を伝えるとき、言語化を必要としないこと。よく相手が分かっているので、お互いの感情の変化なども、言葉で伝えなくても分かってもらえると思い込んでいる。

 

 

尊属殺害検挙数

 

統計3−18

家庭内暴力の対象別統計 (平成15年)

 

 

参考文献

碓氷真史 『なぜ「少年」は犯罪に走ったのか』 (2000)、 ワニのNEW新書

福島章 『非行心理学入門』 (1985)、 中公新書

中沢正夫 『子どもの凶悪さのこころ分析』 (2001)、 講談社+α新書

 

参考URL

http://kangaeru.s59.xrea.com/

http://www.npa.go.jp/hakusyo/h16/hakusho/h16/data/html/FS030318.html