勝手に対決 第7回  〜精神鑑定〜                                 

 

精神鑑定はいい加減

1988年の幼女連続誘拐殺人事件の場合、被告の宮崎勤(20061月に死刑確定)に対して出された精神鑑定の結果がすべて異なっていた。

2001年の大阪池田小児童殺傷事件の場合、被告の宅間守は事件の前、トラブルを起こすたびに精神障害者を偽装し、簡易鑑定を潜り抜ける、あるいは短期の入院を繰り返していた。

 

精神医学の教科書には、統合失調症の診断基準について、「熟練した医師が面接をおこない、精神病と判定された人が、精神病である。」と書かれている。明確な基準が無く医師の直感で判断される。

 

実状

 精神鑑定の90%以上は簡易鑑定で決着がついている上に、裁判所における鑑定も多くは一審で1度やって終わりである。再鑑定となる場合はむしろ稀である。再鑑定となった場合は、弁護側か検察側に異議があり、最初の鑑定人と別の結論を出しそうな人を探し出してくるケースがあるので、別の内容の鑑定結果になっても不思議ではない。

 

 常識の世界から見れば理解できないような思考を「理解不能」と切り離し、そのような症状をいくつか併せ持つ一群を「統合失調症」と名付けた。精神医学はもともと不安、抑うつ、いらいらなどの問題を扱っているものであり、モンスター級の異常犯罪者には応用できない。

 

 

参考文献

林幸司 (2006) 『ドキュメント 精神鑑定』、 洋泉社

作田明 (2005) 『現代殺人論』、 PHP新書

呉智英・佐藤幹夫 (2004) 『刑法39条は削除せよ! 是か非か』、 洋泉社