発達障害と人格障害
発達障害
子どもが成長とともに発達させていく知能や精神活動、運動機能などが、なんらかの理由で遅れたり、障害されたりすること。
A―特異的発達障害→特定の技能領域の獲得の遅れまたは失敗
学習障害(Learning Disabilities)
@
話し言葉と言語の障害
A
学習能力の障害
B
運動能力の障害
C
混合性の障害
B―広汎性発達障害→多様な領域における発達の質的な歪み
高機能自閉症
自閉症の60〜75%には知的発達の遅れがみられるが、高機能自閉症には知的発達の遅れがない。他人とのかかわりが上手くできない、自分の意思を相手に伝えることができない、興味をもつものが極端に限定されている、同じ動作をくり返し行う等の特徴がある。これらの特徴が3歳までにみられ、他の障害や病気と鑑別されると、自閉症と診断される。
アスペルガー症候群
コミュニケーションをとることはできるが、会話の内容や質がなんとなくずれていて、違和感がある。人と共感することや人のこころを推測することなどが苦手で、その人にしかわからない理論によって行動するのが特徴。
2〜3歳まではおおむね正常に発達していく。大人になるまで発見されなかった人も多く、知的レベルの高い人では高学歴であったり、研究者として活躍していたりする。
C―精神遅滞→全般的な遅れ
精神遅滞
軽度の場合、平均よりも知的機能が低く、適応行動(年齢に見合った行動)の障害が同時にある状態が、18歳までに認められるものをいう。
重度の場合、1歳ぐらいまでに、座ったり立ったり、歩くなどの基本的な運動ができない。また、パパ、ママ、といった意味のある言葉が、なかなか出てこない。
補足:発達障害に密接に関連している障害
注意欠陥/多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder)
落ち着きがない、馴れ馴れしい、癇癪を起こす、気分の不安定、自分勝手な行動。
ボーダーラインチャイルド
不安の処理が下手、空想と現実の混同、未熟な依存的愛着、衝動のコントロールが不得手。
人格障害
思考や判断、行動に柔軟性がなく、そのことで周囲や本人が悩んでいる状態のことを指す。青年期から成人期に多く見られるが、中年以降はあまり目立たなくなることが多い。
A群―言動が奇妙で、風変わりな特徴を持つ人
@ 妄想性人格障害
他人の行動を悪意のあるもの、自分に危害を加えるものと解釈する傾向がある。
A 統合失調症質人格障害
家族を含め、社会との親密な関係を拒み、孤立した行動を選択する傾向がある。
B 統合失調症型人格障害
他人と親密な関係を持てず、奇妙な行動やしゃべり方をする。
B群―感情的で激高しやすく、気がよく変わる人
@ 反社会性人格障害
人をだますなど、他人の権利を無視したり侵害したりする行為を、15歳を過ぎても行なっている。
A 境界性人格障害
激しい怒りや抑鬱、焦燥などを感じることが多く、孤独でいることに耐えられず、周囲の人たちを感情的に巻き込む傾向がある。
B 演技性人格障害
周囲の注目を浴びることを強く望み、外見を気にすることが多い。感情的なため、友人関係を長続きさせることができない。
C 自己愛性人格障害
強い優越感を持ち、周囲の人に賞賛されることを望んでいる。しかし、他人を賞賛することは望まず、共感することもない。
C群―不安や心配が常に頭から離れない人
@ 回避性人格障害
他人から悪く評価されるのではないかと常に怯え、批判されると傷つきやすい。ごく限られた人間としか親しい関係が結べず、社会活動を避ける傾向がある。
A 依存性人格障害
誰かに依存したいと常に思っており、見放されることに強い不満を感じる。他人の意見に左右されやすい傾向がある。
B 強迫性人格障害
慎重な完璧主義者だが、仕事を途中で放り出すことが多い。また、柔軟性に欠け、社会の変化に適応するのが苦手な傾向がある。
いずれの人格障害も適切な治療を行えば、かなりの改善がみられることが分かっている。
参考文献
山崎晃資 (2005) 『発達障害と子どもたち』、 講談社+α新書
岡崎博之 (2006) 『殺人心理学入門』、 宝島社