発達障害と人格障害                                           

 

発達障害

 子どもが成長とともに発達させていく知能や精神活動、運動機能などが、なんらかの理由で遅れたり、障害されたりすること。

 

A―特異的発達障害→特定の技能領域の獲得の遅れまたは失敗

学習障害(Learning Disabilities

@       話し言葉と言語の障害

A       学習能力の障害

B       運動能力の障害

C       混合性の障害

 

B―広汎性発達障害→多様な領域における発達の質的な歪み

高機能自閉症

 自閉症の6075%には知的発達の遅れがみられるが、高機能自閉症には知的発達の遅れがない。他人とのかかわりが上手くできない、自分の意思を相手に伝えることができない、興味をもつものが極端に限定されている、同じ動作をくり返し行う等の特徴がある。これらの特徴が3歳までにみられ、他の障害や病気と鑑別されると、自閉症と診断される。

 

アスペルガー症候群

 コミュニケーションをとることはできるが、会話の内容や質がなんとなくずれていて、違和感がある。人と共感することや人のこころを推測することなどが苦手で、その人にしかわからない理論によって行動するのが特徴。

 23歳まではおおむね正常に発達していく。大人になるまで発見されなかった人も多く、知的レベルの高い人では高学歴であったり、研究者として活躍していたりする。

 

C―精神遅滞→全般的な遅れ

精神遅滞

 軽度の場合、平均よりも知的機能が低く、適応行動(年齢に見合った行動)の障害が同時にある状態が、18歳までに認められるものをいう。

 重度の場合、1歳ぐらいまでに、座ったり立ったり、歩くなどの基本的な運動ができない。また、パパ、ママ、といった意味のある言葉が、なかなか出てこない。

 

補足:発達障害に密接に関連している障害

注意欠陥/多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder

 落ち着きがない、馴れ馴れしい、癇癪を起こす、気分の不安定、自分勝手な行動。

 

ボーダーラインチャイルド

 不安の処理が下手、空想と現実の混同、未熟な依存的愛着、衝動のコントロールが不得手。

 

 

人格障害

 思考や判断、行動に柔軟性がなく、そのことで周囲や本人が悩んでいる状態のことを指す。青年期から成人期に多く見られるが、中年以降はあまり目立たなくなることが多い。

A群―言動が奇妙で、風変わりな特徴を持つ人

@ 妄想性人格障害

他人の行動を悪意のあるもの、自分に危害を加えるものと解釈する傾向がある。

A 統合失調症質人格障害

 家族を含め、社会との親密な関係を拒み、孤立した行動を選択する傾向がある。

B 統合失調症型人格障害

 他人と親密な関係を持てず、奇妙な行動やしゃべり方をする。

 

B群―感情的で激高しやすく、気がよく変わる人

@ 反社会性人格障害

 人をだますなど、他人の権利を無視したり侵害したりする行為を、15歳を過ぎても行なっている。

A 境界性人格障害

 激しい怒りや抑鬱、焦燥などを感じることが多く、孤独でいることに耐えられず、周囲の人たちを感情的に巻き込む傾向がある。

B 演技性人格障害

 周囲の注目を浴びることを強く望み、外見を気にすることが多い。感情的なため、友人関係を長続きさせることができない。

C 自己愛性人格障害

 強い優越感を持ち、周囲の人に賞賛されることを望んでいる。しかし、他人を賞賛することは望まず、共感することもない。

 

C群―不安や心配が常に頭から離れない人

@ 回避性人格障害

 他人から悪く評価されるのではないかと常に怯え、批判されると傷つきやすい。ごく限られた人間としか親しい関係が結べず、社会活動を避ける傾向がある。

A 依存性人格障害

 誰かに依存したいと常に思っており、見放されることに強い不満を感じる。他人の意見に左右されやすい傾向がある。

B 強迫性人格障害

 慎重な完璧主義者だが、仕事を途中で放り出すことが多い。また、柔軟性に欠け、社会の変化に適応するのが苦手な傾向がある。

 いずれの人格障害も適切な治療を行えば、かなりの改善がみられることが分かっている。

 

参考文献

山崎晃資 (2005) 『発達障害と子どもたち』、 講談社+α新書

岡崎博之 (2006) 『殺人心理学入門』、 宝島社