ストーカー 第1回
ストーカー(stalker)の定義
2005年5月18日、ストーカー規制法が国会で成立した。その中でストーカー行為を次のように定義した。
「特定の人に対する恋愛・好意の感情やそれに派生する怨恨の感情を満たす目的で、つきまといや待ち伏せをしたり、面会や交際を要求したり、無言電話をしたり、著しく乱暴な言動を働いたり、汚物を送付したり、名誉を害することを告げたり、性的嫌がらせを反復して行なうこと。」
ストーカーの5つのタイプ
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イノセント・タイプ
ストーカー被害者とほとんど面識がないのに、ストーカーのほうで勝手に妄想して、ストーカー行為に及んでいるタイプ。被害者にほとんど責任がない。
A
挫折愛タイプ
単なる知り合い同士から恋人同士まで幅広い関係が崩れたとき生まれるストーカーのタイプ。
B
破婚タイプ
法律的な結婚であろうと、事実婚であろうと、結婚を解消しようとしたときに起こるストーカーのタイプ。
C
スター・ストーカー
有名人を狙ったストーカー。
D
エグゼクティブ・ストーカー
学校やスポーツクラブのコーチ、会社の上司などに憧れて、勝手に妄想してストーカー行為に及ぶタイプ。
「片思い型」と「別れ話のもつれ型」
@、C、DとAのうち、単なる知り合い程度しかないのにストーカーになったものを含めて「片思い型」にまとめる。この場合の被害者は身の危険、不安、焦りなどに襲われ怯え、苦しむけれども、自分の心の中には罪の意識や葛藤がないので、警察を含めて誰にでもすぐに相談ができる。
反対に「別れ話のもつれ型」は簡単ではない。恋人同士あるいは夫婦であったものは、お互いに心理的にも経済的にも社会的にも深入りしていて、他人には知られたくないさまざまな秘密も共有している。加害者に対する情があり、また自分にも弱みがあるため、相談が遅れる。警察やカウンセラーに相談に来る時には、心理的、物理的にも非常に危険な局面にきてしまっていることが多い。
ターゲットになりやすい女性
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特別に美人というよりも、きれいでかわいいというタイプ。
A
笑顔や声や身体の動きに清潔な色気や甘さがある。
B
明るくて社交的。
C
強烈な個性は感じられない。
D
やさしく、思いやりがあり、心が広そう。
E
服装や髪型なども適当に流行を追っておしゃれをしているが、過激な感じはなく、素直で自然。
F
社交的なわりにはどこか寂しげで孤独。
G
気が弱そう。
H
怒ったり、ヒステリーを起こしたりはしない。
I
男も含めて人間を信用していて、新しい男とも恋愛関係に入るのにあまり躊躇しない。
金を要求するのが特徴
まずストーカーというのは、状況から言えば、付き合っていた相手が自分から逃げていこうとしているわけで、自分がどんな危険なことをしていても、自分こそが被害者だと信じている。
次に、未練がましくも、心変わりした相手を必死になって追いかけるというみっともない行為をやっている間に、見栄もプライドも消えてしまい、平気でお金を要求する。
また相手からお金を脅し取ろうとすることは、相手を破壊しようとする行為の一部であり、この時点で相手への憎悪は頂点に達している。とても危険なことを始める一歩手前であると考えられる。
相談する時は
いつまでも一人で悩んでいると苦しみや恐怖感や絶望感は大きくなる一方で、解決の糸口は見つからないばかりか、そのうち被害者はノイローゼ状態になってしまうのである。
そうなる前に相談すべきなのだが、自分の悪い点、自分の責任もちゃんと認めて話さなければいけない。助けてくれる人を見つめるためだけでなく、被害者がその後意志を強くもって、しっかりした行動をとるためにもとても重要である。
絶対に相手と連絡を取るな
ストーカーはターゲットとの何らかの決着を望んでいるのではない。少しでも長くターゲットとの関係を維持して、甘えたり、文句を言ったりしていたいだけなのである。
逃げないで相手の弱点を見つける
ストーカーと呼ばれる人にも、家族や仕事など、失いたくないものがある。「ストーカー行為を続けると結局あなたが大損する。」という旨のメッセージを送るのが効果的である。
『ストーカーの心理』 著者 荒木創造 2001年 講談社