死刑について 第1回

 

1. 全面的に廃止した国 84ヶ国
(法律上、いかなる犯罪に対しても死刑を規定していない国) 
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カンボジア、カナダ、コロンビア、クロアチア、デンマーク、ドミニカ共和国、東チモール、エクアドル、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハイチ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、マケドニア(旧ユーゴスラビア)、モナコ、ナミビア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、パラグアイ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セネガル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、ウルグアイ、バチカン市国、ベネズエラ 等

2. 通常犯罪のみ廃止した国 12ヵ国
(軍法下の犯罪や特異な状況における犯罪のような例外的な犯罪にのみ、法律で死刑を規定している国) 
アルゼンチン、ブラジル、チリ、フィジー、イスラエル、メキシコ、ペルー 等

3. 事実上の廃止国 24ヵ国
(殺人のような通常の犯罪に対して死刑制度を存置しているが、過去10年間に執行がなされておらず、死刑執行をしない政策または確立した慣例を持っていると思われる国。死刑を適用しないという条項のある国際規約等を批准している国も含まれる。)
アルジェリア、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、ケニア、モルディブ、モロッコ、ビルマ(ミャンマー)、ロシア、チュニジア 等

4. 存置国 76ヵ国
(通常の犯罪に対して死刑を存置している国)
アフガニスタン、バーレーン、カメルーン、中国、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エチオピア、ガーナ、ギニア、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、日本、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、マレーシア、モンゴル、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、カタール、サウジアラビア、シンガポール、台湾、タイ、アラブ首長国連邦、米国、ウズベキスタン、ベトナム、等

13の死刑廃止国の地域別内訳

アジア26% アフリカ47% ヨーロッパ72% 旧ソ連60% 北アメリカ43% 南アメリカ83% 

オセアニア92%

死刑存置国の宗教別内訳

イスラム教39% 仏教15% キリスト教12% その他34%

 

2004年中に、25カ国において少なくとも3,797人が処刑され、64カ国において少なくとも7,395人が死刑の判決を受けた。これらの数字はアムネスティ・インターナショナルに知らされた事例のみであり、実際の数字は確実にこれを上回る。
 2004年においては、判明しているすべての執行の97%が、中国、イラン、ベトナム、米国で行なわれた。その年の終わりにアムネスティ・インターナショナルが入手した限られた不十分な記録によると、中国では少なくとも3,400人が処刑されたが、実際の数字はこれをはるかに上回ると考えられる。20043月、全国人民代表大会の代表者の一人は、中国は毎年1万人近くの人々を処刑していると述べた。イランは少なくとも159人、ベトナムは少なくとも64人を処刑した。米国では59件の執行があった。

 

死刑制度は殺人の抑止力になるか

 現在の世界各国の殺人発生率を統計上見ても、インターポール(国際刑事警察機構)の統計に見ると、死刑存置国の殺人発生率は、10万人につき7.6であるのに比べて、死刑廃止国の殺人発生率は、4.65人である。死刑が殺人犯罪の抑止力になっているとは言えない。

 威嚇の力としての死刑という考えもあるだろうが、その力が及ぶのはもっぱら犯罪には向かない小心の人達だけであって、凶悪犯罪へ向うような人達にはその効果は無いのではないか。アメリカと中国では過去に死刑執行をテレビで放映したことがあるが、それらの国で犯罪が減少したということは聞いたことが無い。

 

 

 

参考文献

『日本残酷死刑史』  森川 哲郎  平沢武彦 編  2001年 日文新書

死刑の現状http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/sikei.htm