『ゲーム脳の恐怖』                                

 

ゲームによって前頭前野の働きが悪くなる。前頭前野の脳波から4つのタイプに分けた。

(前頭前野とは人間らしさを表現する場所。理性、道徳心、羞恥心)

 

・ノーマル脳人間タイプ

 まったくテレビゲームをしたことがない人。礼儀正しく、学業成績は普通より上位。

 テレビゲームをしても脳波にほとんど変化がない。

 

・ビジュアル脳人間タイプ

 テレビゲームをほとんどしたことがないが、テレビやビデオを毎日1〜2時間見ている人。学業成績も普通から上の人が多い。

 テレビゲームをすると脳の働きが低下するが、やめるとすぐに元に戻る。

 

・半ゲーム脳人間タイプ

 テレビゲーム、携帯型ゲームを小学校低学年から大学生になるまで、週3〜4回、1日1〜3時間している人。日常生活において集中性があまりよくなく、物忘れも多い。

 テレビゲームを始める前からすでに、脳の働きが低下している。ゲームをやめてもすぐには元に戻らない。

 

・ゲーム脳人間タイプ

 小学校低学年あるいは幼稚園児から大学生になるまで、週4〜6、1日2〜7時間テレビゲームをしている人。キレる人が多いと思われる。ボーっとしている人が多く、集中力が低い。学業成績は普通以下の人が多い。時間感覚がなく、学校も休みがちになる。

 テレビゲームをしている間は完全にといっていいくらいに脳波が消失している。ゲームをしていない時も脳は働いていない。

 

ゲームをしても脳が働かないのはなぜか

 画像情報により刺激は、前頭前野で処理されない。(目からの情報は視床から視覚野へ入り運動野へ伝わる。そして延髄を経て、目的としている手足の筋肉をすばやく収縮させる。)

 普通は、前頭前野と運動野の間にも神経連絡があるので、視覚系が働いても、簡単に前頭前野の働きが悪くなることがない。

しかしゲームの操作をするときにいちいち考えずに、どんどん手が動いて、視覚系の神経回路が強固になると、前頭前野の必要性が減ってしまう。

※ 読書も視覚からの情報で一時的に脳波は下がるが、思考が入ると前頭前野が働く。

 

脳波が上がるゲーム

 1つ目はダンスゲーム。しかしこれは、運動による脳波の上昇。

 2つ目はホラー要素を含んだ、スリルを味わうようなロールプレイングゲーム。しかし、思考によって脳波が上昇したのではなく、緊張感や恐怖感といった強烈なストレスの影響。自律神経の調子が悪くなったり、免疫機能が低下したりする。

 

ゲーム脳の改善と対策

・運動による改善

ビジュアル脳人間の場合はウォーキングやジョギングで顕著な脳波の上昇が見られた。特に好きな運動で、楽しんでできることのほうが良い。しかしゲーム脳人間の場合は、この程度では改善されなかった。

 

・ゲーム脳人間になってしまったら

ゲーム脳人間にも効果的なのはお手玉。集中力が必要で、目と手の感触をフル回転させなくてはならず、時系列的な作業を考え、位置関係を考えなければならない。

 

・ゲームをするなら

脳の神経回路が組み上がるのは10歳頃まで。したがって、中学生や高校生になってからテレビゲームを始めた人はゲーム脳になりにくい。ゲームをするなら、せめて中学生以降、できれば大学生になってから。時間は週1回、30分程度。

 

・触れ合いを大切にする

親とのスキンシップが欠けたり、コミュニケーションが取れなかったりすると、集団欲が満たされず大きなストレスになる。脳に悪い影響を与え、精神的不安定を引き起こす。

 

・脳に必要な栄養素

1日3回の食事をしっかり取る。特に脳がエネルギーとして使えるブドウ糖は必ず取る。たんぱく質、ビタミンB6、ビタミンE、カルシウム、DHAなどバランスよく取る。

 

 

参考文献

森昭雄 (2002) 『ゲーム脳の恐怖』、 生活人新書