原因論から機会論へ
原因論→犯罪者の内面に原因を求める
機械論→犯罪が起きた場所(環境)に原因を求める
防犯環境設計
犯罪の機会〔状況〕 |
犯罪に強い要素 |
ハードな要素 |
ソフトな要素 |
標的 |
抵抗性 |
恒常性 |
管理意識 |
場所 |
領域性 |
区画性 |
縄張意識 |
監視性 |
無死角性 |
当事者意識 |
学校の安全
見通しの効くフェンスで囲む。(塀で囲むと外から見えない)網目に足がかかりにくく、破られにくいものが良い。さらに、忍び返しや振動感知センサーが取り付けられたものなら一層好ましい。
校門は、登下校時以外は開けない。校門にはインターホンをつけておき来訪者に対応する。校門まで出向く時は複数の事務員で対応する。校門を開ける時は教職員が校門に立つ。
来訪者向けに、校門に、受付で記帳が必要である旨を明確に掲示し、受付までの経路を分かりやすく図示する。あらかじめ入校許可証や保護者証を配布し、受付で提示を求める。
校長室、教員室、事務室、保健室などを、部屋から校門や校庭を見渡せる位置に配置する。
センサー付きライトを設置する。(普通のライトだと非行少年の溜まり場になってしまう)
公園の安全
鉄柵や生垣で公園を囲む。ただし、植栽は腰の高さまでの低木と、下枝を落とした高木を中心に。
利用者層別に区域を明確に分離する。
地域住民の集会所を公園に敷設する。
隣接する住宅の窓から見えるようにする。
トイレは女子用入口と男子用入口を離して設置する。
コンクリートの壁や、木のベンチなどを置かない。
道路の安全
住宅街から幹線道路に出るルートを限定する。さらに、生活道路の多くを袋小路にする。広い歩道を確保する。
地下道は広く浅く斜めに。
商店街の違法駐車を防ぐ。
住宅の安全
共同住宅は敷地の出入口を限定する。
共用玄関にオートロック。エントランスにカラータイル舗装。
1台のエレベーターや1本の廊下を共有する戸数を少なくする。
屋上は開放しない。
戸建住宅は電柱やエアコンの室外機、物置などに注意。
塀ではなく、フェンスや、低い生垣。さらに鉢。
庭には、砂利を敷く。センサーライトとテレビドアホンの設置。
秩序違反行為が犯罪の呼び水になる
「割れ窓理論」(Broken Windows
Theory)→犯罪者は管理されていないと思うと安心して犯罪に着手する。
落書きや、ゴミの投げ捨て、自転車の放置といった秩序違反行為が見過ごされるとやがて犯罪を引き起こす。
実績
イギリス:バーミンガム
屋外市場で、通路の幅を2mから3mに広げた結果、窃盗が70%減少した。
イギリスでは1994年から2002年までに約400億円を防犯に投資した。
日本:東京都新宿区
新宿中央通りを商店会会員がパトロールし、さらに19台の監視カメラを設置した結果、テナントビルの賃料相場は周辺の通りの約2倍に当たる坪10万円に上昇した。
アメリカ:ニューヨーク
地下鉄で秩序違反行為を徹底的に取り締まった結果、地下鉄内の強盗は5年間で半減した。
参考文献
『犯罪は「この場所」で起る』 小宮信夫 2005年 光文社