参考   http://kangaeru.s59.xrea.com/

http://www.chironoworks.com/ragnarok/psychology/log/eid43.html

 

勝手に対決 第3回  〜数字でみる少年犯罪〜                         

 

 少年犯罪は増加していない。殺人で検挙される少年の数は、戦後急増し、50年代には400件を超えたが、70年代には年間100件ほどにまで減少し、その後も低い水準で増減を繰り返している。

 

少年犯罪は凶悪化していない。1995年頃から少年による凶悪犯罪(殺人、強盗、強姦、放火)が増えているが、これは強盗の増加によるものである。殺人、強姦、放火は減っている。強盗の増加もピーク時の半分程度でしかない。また強盗の内容はほとんどが路上犯罪である。

 

 少年犯罪は低年齢化していない。少年刑法犯全体でいえば、年少少年(1415歳)の検挙人員は、1980年は1000人あたり30人だったが、現在は20人で、他年齢層より多いものの低くなっている。凶悪犯罪全体に占める年少少年の割合も以前に比べ低くなっている。

『少年犯罪と向きあう』(石井小夜子 岩波書店 2001年)より

 

 

 少年犯罪は増加している。殺人の検挙人員は確かに減っているが、それは戦後直後の未曾有の混乱状態において多発したときより少ないというだけで、増加・凶悪化していないとはいえない。

しかも検挙率は著しく下がっている。全刑法犯の検挙率は1950年から1985年にかけて、60%前後を維持してきたが、現在は35%前後である。また起訴率もピーク時の3分の1まで下がっている。

 

少年犯罪は凶悪化している。殺人検挙人員率は戦後の混乱期、60年代、80年代の少年犯罪多発期においても成人の率の方が高かったが、99年に初めて、少年の率が上回った。そして、少年の凶悪事件を起こす率は、ここ10年で3倍になっている。

 

少年犯罪は低年齢化している。凶悪犯全体の検挙人員率を年齢別に見てみると、75年から90年までは年長少年が一番多く、中間少年、年少少年、成人と続いていた。しかし、90年以降は中間少年が年長少年を上回り、凶悪犯罪の主役となった。年少少年と年長少年との差も縮まってきている。また強盗・強姦においても、少年の検挙人員率は上がっている。

『少年犯罪―統計から見たその実像』(前田雅英 東京大学出版 2000年)より