岸和田中3生徒虐待事件

 200311月、大阪府岸和田市で中学三年の男子生徒(15)が自宅で、衰弱死寸前で見つかった。保護された時の身長は155cmで体重は24kgだった。

 20041月、大阪府警は実父(40)と内縁の妻(38)を殺人未遂容疑で逮捕した。

 

改正暴力団対策法

 5月に成立した。暴力団の組長に損害賠償責任を負わせる規定が盛り込まれた。@暴力団抗争があり、A抗争に伴う暴力行為によって一般人が被害を受け、Bその行為が組合員によるものであることが立証されれば、組長に賠償責任を負わせることができる。

 

佐世保小6同級生殺害事件

 6月、長崎県佐世保市の市立大久保小学校で、給食時間中に6年生の女児(11)が同級生の女児(12)を校舎3階の「学習ルーム」に呼び出し、首をカッターナイフで切りつけて死亡させた。長崎県警は女児を補導し、児童相談所に非行事実を通告した。児童相談所は女児を長崎家庭裁判所佐世保支部に送致した。家庭裁判所は少年審判を開き、女児を栃木県内の児童自立支援施設に送致し、強制的措置を2年間取れるとする保護処分を決めた。

 

新宿幼児突き落とし事件

 6月、東京都新宿区で、中学2年生の少女(13)が、マンションの外階段の踊り場から男児(5)を突き落として怪我をさせたとして補導された。東京都児童相談センターは少女を東京家裁に送致した。2年間で180日を限度に強制的措置を取れるとする保護処分を決定した。

 

石川強盗殺人事件

 9月、石川県に住む男性(66)の自宅に、無職の少年(17)が侵入し、男性の妻(64)をサバイバルナイフで殺害し、財布を奪って逃走した。

 

児童虐待防止法改正

 児童虐待防止法が改正され、10月に施行された。従来の@身体的な暴行Aわいせつ行為B著しい食事制限や長時間の放置による育児放棄(ネグレクト)C心理的に傷つける言葉―に加え、保護者以外の同居人による虐待の放置や、配偶者への暴力を見せる行為も児童虐待と位置づけた。

 学校や医療機関の職員らに、虐待された児童を発見した際の通告義務を定め、「虐待を受けた児童」から「虐待を受けたと思われる児童」へと対象が広げられた。

 

奈良女児誘拐殺害事件

 11月、奈良市で帰宅途中の小1女児(7歳)が自宅近くで元新聞販売所従業員の男性に連れ去られた。男性はマンションの自室の浴室で女児にわいせつな行為をしたうえ、浴槽の湯に沈めて窒息死させた。

 

水戸両親殺害事件

 11月、茨城県水戸市内に住む少年(19)が、自宅で就寝中の中学校教諭の父親(51)と元小学校教諭の母親(48)の頭部を鉄アレイで殴って殺害した。

 

茨城・土浦家族殺害事件

 11月、茨城県土浦市に住む無職の男性(28)が、市立博物館の副館長の父親(57)と母親(54)、里帰りしていた姉(31)の3人を殺害した。

 

犯罪被害者等基本法

 12月、臨時国会で成立した。犯罪被害者の権利と、必要な支援に関する国の責務を明記。国や自治体、民間の協力、被害回復のための医療、さらに被害にあわないための安全確保などの基本施策を掲げた。

 

刑法厳罰化

 12月、改正刑法・刑事訴訟法が成立した。

 

 

刑法などの改正内容

改正前

改正後

期刑の上限

有期刑(単独の罪)の上限

15

20

有期刑(併合罪と再犯加重)の上限

20

30

死刑・無期から減刑した場合の有期刑の上限

15

30

殺人

315年(死・無)

520年(死・無)

個別の罪の有期刑

組織的な殺人

515年(死・無)

620年(死・無)

強姦致死傷

315年(無)

520年(無)

強姦

215

320

強制わいせつ

6ヶ月〜7

6ヶ月〜10

傷害

10年以下の懲役か30万円以下の罰金・科料

15年以下の懲役か50万円以下の罰金

傷害致死

215

320

危険運転致傷

10年以下

15年以下

加重傷害・常習的傷害

110

115

強盗致傷

715年(無)

620年(無)

 

420

新設の罪

 

620年(無)

死刑にあたる罪

15

25

時効期間

無期の懲役・禁固にあたる罪

10

15

15年以上の懲役・禁固にあたる罪(新設)

10

 

 

 

(死・無)→死刑・無期懲役刑有り

 

茨城県岩井市で県立高校女子の絞殺死体を発見

茨城県美浦村で女子大生の殺害事件

埼玉県美里町で保険金殺人事件

群馬県高崎市の兼営住宅で26歳の会社員の男が同じ階の女児を殺害

長野県飯田市で一人暮らしの高齢者ばかりが殺害された。金品は盗まれていなかった

 

参考文献

発行人 瀬谷肇  編集人 福田和郎 (2005) 『朝日キーワード2005』、 朝日新聞社

岡崎博之 (2006) 『殺人心理学入門』、 宝島社

三浦展 (2004) 『ファスト風土化する日本』、 洋泉社

作田明 (2005) 『現代殺人論』、 PHP新書