2005/09/30

                                                         103−391 中村 朋文

 

カネボウ粉飾決算問題

 2004年10月28日、カネボウが設立した経営浄化調査委員会の報告により3月に辞任した旧経営陣の一部が裏金をねん出、粉飾決算にも手を染めていた実態を明らかにした。報告書は過去の経営に関する重大事実として(1)1999年度から2001年度にかけての不正な資金ねん出(2)01年度と02年度の粉飾決算(3)カネボウ合繊部門の取引先である興洋染織に絡む巨額損失を指摘した。不正資金は1999年度から2001年度にかけて数億円規模でねん出。この裏金は使途不明となっているという。粉飾決算は01年度と02年度に売上高の水増しや経費の過小計上といった操作で、両年度合計で連結当期損失を100億円―300億円隠したとされる。

 2005年4月13日、カネボウ旧経営陣の粉飾決算問題で、不適正な会計処理による粉飾の総額が約2000億円に上っていたことが、同社と監査法人の内部経理調査で明らかになった。20003月期から20043月期まで5期分の決算訂正を発表し19963月期から20043月期まで9期連続で債務超過となるとした。003月期から033月期までは連結純損益で黒字だったが、決算の訂正で赤字転落となった。カネボウ株に売り注文が殺到。ストップ安(200円安)の1291円まで下げた。

 

2005年5月12日 東京証券取引所は12日、カネボウ株の上場廃止を決定

2005年5月13日 整理ポストに移る

2005年6月13日 上場廃止

2005年7月24日 産業再生機構の支援下で経営再建中のカネボウを巡る粉飾決算疑惑で、帆足隆元社長ら旧経営陣が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、粉飾への関与を認める供述を始める

2005年7月29日 帆足隆元社長ら元役員3人を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕。

2005年8月14日 証券取引等監視委員会は帆足元社長らを告発

2005年9月13日 会計監査を担当した中央青山監査法人に所属する公認会計士が粉飾に深く関与した疑いが強まり、東京地検特捜部は13日、会計士で同監査法人代表社員、佐藤邦昭ら4容疑者を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕。債務超過だった2002年3月期から2期の財務状況が健全であるかのように装った連結決算書の作成を承認したという。

 

元来、カネボウは産業再生機構から支援を受けており企業再生の途中であった。非上場企業だと事業再生戦略に影響が出るとして産業再生機構は東証に上場維持を要請した。しかし、東証側は債務超過だったことを隠していたことは、投資家の信頼を著しく裏切ったと判断し上場廃止が決まった。

 

*産業再生機構→日本の産業の再生と、信用秩序の維持を図るため、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者に対し、事業の再生を支援することを目的とし、そのために、債権買取り、資金の貸付け、債務保証、出資などの業務を営む。再生支援をするかどうかは、事業者と債権者たる金融機関の連名による支援申請を受けて決定される。主として、金利減免などを実施した「要管理先」債権を、非主力取引銀行から2年間に集中して買い取り、主力取引銀行と協力して再建を進めるというもの。買い取った債権は、3年以内に新しい再建スポンサーに売却し、不採算事業の整理などの事業の再構築を実行する。今までにダイエーなどを支援してきた。

 

<参考URL>http://www.nikkei.co.jp NIKKEINET

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