2005/07/15

中村 朋文

上場廃止

上場株が証券取引所の定めた上場廃止基準に該当し、取引所で売買できなくなること。東京証券取引所は上場株が上場廃止基準に該当する恐れが生じた場合、投資家に周知するため監理ポストに割り当てます。上場廃止が決まったら整理ポストに移し原則、1カ月間売買を認めた後、上場廃止になります。

 

上場廃止基準の一例

上場株式数が4,000単位(4,000単元)未満

大株主上位10名、特別利害関係者およびその企業が持つ株式数は、上場株式数の80%超

上場時価総額10億円未満、又は上場株式数の2倍未満

売買高についても、一定水準以上

債務超過

虚偽記載

 

上場廃止の流れ(3月期決算会社の場合)

3月期決算のA社が6月末までに東証に提出した有価証券報告書で、大株主上位10者と役員の株式保有比率が80%を超えていた事実が記され、上場廃止基準に抵触することが発覚したとするとこの場合、A社には、80%超の状態を解消する1年間の猶予期間が与えられます。その起点は期末直後の4月1日にさかのぼります。 A社は猶予期間中に、大株主に自社株式を市場などで売却するよう求めるほか、公募増資などの実施で少数の特定株主の保有比率を下げる努力ができます。A社は、こうした実績を東証に報告し、東証側が認めれば、廃止の対象から外れます。

 翌年3月末までに保有比率が下がらなければ、東証は4月からA社株式を、上場廃止の可能性がある株式を投資家に知らせるための監理ポストに割り当てます。6月末までに提出される有価証券報告書で是正されなければ、A社の株式は整理ポストに入り、約1か月後に上場廃止となります。

 A社が4〜6月に東証に提出する株式総数や役員の保有割合などを記した「株式分布状況表」で90%超が判明した時点で、A社は監理ポストに割り当てられます。有価証券報告書で保有比率の数字が正式に確かめられた後、整理ポストに入り、約1か月後に上場廃止となります。この間に、90%超の状態を解消できれば、上場廃止の対象から外れます。

 上場を廃止された株式を持つ株主は、証券会社との個別取引で買い取ってもらうか、自分で買い手を探すことになります。買い手が見つからない場合や、見つかっても売却価格が大幅に低くなる可能性もあります。

 

<参考URL>http://www.yomiuri.co.jp YOMIURI ONLINE