2005/05/27
中村 朋文
自社株買い
正式名称は自己株式取得。株式会社が過去に発行した自社の株式を買い戻すこと。従来、自社株買いは自社株式償却やストックオプションの付与などに目的が制限されていたが2001年の商法改正により目的を定めずに金庫株として取得、保有することが可能になった。
金庫株:企業が既に発行した自己株式を取得して償却せずに保有すること。無期限かつ数
量に制限無く保有が認められる。合併、株式交換、会社分割により企業組織再編
を行う場合、新株発行に代えて保有する自己株式を割り当てることが可能になり
ました。
ストックオプション:会社役員や従業員等があらかじめ定められた価格で自己株式を購入できる権利。株価が行使価格を上回れば、その差額がそのまま報酬となるため、会社役員等に対する業績連動型のインセンティブ報酬として利用されます。
自社株買いの発表後、株主総会での決議を経てから行われるのが一般的(取得する株式
の総数、取得価格の総額の上限、株式の種類)。平成16年度は3兆6114億円の自社株
買いが行われました。
自社株買いを行う一番の理由⇒株主価値を高めること
稼いだ利益で株主価値を高める方法
(1) 配当金を支払う→仮に利益を全額配当金に回せばその年の株主価値は高まりますが
将来の成長原資がなくなり、非常に不安定になります。
(2) 借金の返済→利益をすべて借金の返済に回せば翌年以降の金利は減少するため利益
は増えるが将来のビジネスの成長という面で不安定。
(3) 新しい成長分野に投資するために内部留保する
→企業が次なるステップへの成長を目指して、稼いだ利益を新しい投資に振り向け
たとしても、それが100%成功するという保証はどこにもありません。
企業が選択する第4の方法が自社株買いとなります。自社の株式を買い入れて償却すれば、企業の発行済み株式数が減少し利益の絶対額が変わらなくても一株あたりの利益は上昇することになりそれだけ株主の価値は高まります。
昨日、(株)アデランスが自社株買いを発表し発行済み株式数の1.4%(60万株)を上限に行います。株価は75円(3.18%)上昇しました。株式分割や増配ほど株価は上がりませんが株式市場では好感されています。