不二家について
2007年1月10日、大手菓子メーカーの不二家は消費期限切れの牛乳を原料としたシュークリーム約2000個を製造し、出荷した事実を把握しながら回収や公表の措置をとらず隠蔽していたことが明らかになりました。翌11日には社長が陳謝し、当面の間、全国での洋菓子販売を全面的に休止すると発表しました。1月15日には藤井林太郎社長が辞意を表明しました。大手スーパーやコンビニでも小売向け商品の店頭からの撤去も行われています。
不二家と株価の関係
2007年1月10日 233円(ここ3ヶ月ではほぼ高値の水準))
2007年1月11日 211円(出来高も50倍に膨らむ)
2007年1月15日 192円(昨年の最安値は197円)
2007年1月25日 210円
*昨年の同時期は288円〜318円
雪印と株価の関係
雪印集団食中毒事件の場合
2000年6月28日 609円(製造自粛、回収、事実の公表を厚生省が指導)
2000年6月29日 604円(事件の公表)
2000年6月30日 570円
7月2日には大阪府立公衆衛生研究所が「低脂肪乳」から黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンA型を検出したことから、大阪市はこれを病因物質とする食中毒と断定し、大阪工場を営業禁止とした。原因として原料となる脱脂粉乳を生産していた北海道の大樹工場(北海道広尾郡大樹町)の生産設備で停電が発生し、病原性黄色ブドウ球菌が増殖して毒素が発生したこと。
2000年7月12日 382円
雪印牛肉偽装事件
2002年度の中間期決算は2年連続の赤字により株価も低迷しました。2001年8月の終値は385円、9月には320円、10月には289円、11月には227円まで低下しました。
雪印乳業の子会社である雪印食品(65.6%保有)の補助金詐取事件。2002年1月に内部告発により発覚しました。国産牛肉にBSEにかかったものがあることが農林水産省から発表され、これを受けて国産牛肉買い取り制度が行われました。安価な国外牛肉を国産牛肉と偽り約2億円の利益を得ました。食中毒と詐欺によりその年の4月に解散が発表されました。発覚した1月23日には株価が前日比49円安の175円まで低下、5月には106円まで値を下げました。その後、事業の再編、減資等を行いました。
業績との関係
2006年3月期決算
売上高 848億4300万円(前期 876億8700万円)
営業利益 −2億 300万円(前期 9億6500万円)
当期利益 −17億9700万円(前期 13億1400万円)
*2007年3月期中間決算でも増益であるものの赤字となっています。
*森永製菓株式会社は発行済み株式総数のうち3.95%を保有(第2位)
卸売事業(チョコレート、キャンディー等菓子類)の生産量が前年同期比92.5%の368億円と生産が減少する一方、商品仕入れは前年同期比105.4%の26億円となっています。ただ売上高からも分かるように販売実績は低下しています。前年比95.0%の420億円となっています。小売事業(ケーキ、デザート等)は前年比99.6%の270億円でした。
森永製菓 中間期決算
製菓部門の中でも菓子類の売上高383億円(前年比97.6%)、健康食品は売上高124億円(前年比93.9%)となりました。また中間期決算説明会では新市場の創造を掲げていることから不二家を買収、さらなる提携も十分に有り得ます。
両者の時価総額
森永製菓 848億円 不二家 264億円
山崎製パン 時価総額 2580億円
2005年度決算では増収減益でした。売上高営業利益率も1.92%と低く推移しています。2006年度の中間期決算では洋菓子部門の好調であったことから増収、純利益は減損損失の影響により減益でした。通期売上高1兆円を目指していることから不二家の買収に名前が挙がっています。
不二家の株価も大手の企業が支援に名前挙がったことで株価の低下も抑えられている傾向にあります。また森永製菓と電話会談で不二家は、主力取引銀行であるりそな銀行主導で自主再建を目指す方針を伝えました。ただ、業績を見ても低迷していることから他企業のなんらかの支援はあると思われます。
<参考URL>http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2002/yukijirushi/ 共同通信社