亜米利加

 

2004年2月17日から23日の7日間、スノーボード発祥の地アメリカに行ってきました。

 

1.出発

前日、東京に住んでいる保育園以来の悪友の家に泊めてもらいました。酒を飲みながらいろいろ話していた時、ふと友人が呟きました。

悪友:「そういやさぁ、目的地まで何で行くんけ?(佐野弁)」

俺:「知らな〜い。なんとかなるべ。」

悪友:「…えっ!?

友人は唖然としてました。しかも翌日代理店でチケットを取りに行く予定だったのでこのときはまだ飛行機のチケットを持っていないという事実にも唖然…。そこで海外経験が豊富の友人はあまりにもノープランな俺のために徹夜でいろいろリサーチしてくれました。空港からの交通手段、宿、ゲレンデ情報…ありとあらゆることです。しかし、その間爆睡中の俺…。ほんと最低…。

翌日御茶ノ水の旅行代理店でチケットをゲットし成田に向かいました。

 

2.到着

飛行機の中でも爆睡だったため時差ボケなんて全然関係なくコンディションは絶好調!同じ飛行機で渡米してきた日本人の方と話しつつ「これが一人旅の醍醐味かぁ♪」、と一人物思いにふけているなか、早速JFケネディ空港のインフォメーションで宿の手配。いまいち場所がわからなかったのでそこのおばちゃんに「地図書いて」と頼もうとしたら、

おばちゃん:「Thanks. Good bye!

俺:(…えっ!?Thanks. Good bye!じゃなくてさぁ…。)

俺:「Could you…」

おばちゃん:「Thanks. Good bye!!! Next.

俺:(いやいやいや…。なんでキレんの!?)

…。心の中で「Fck」と叫びながら宿のあるマンハッタンに向かいました。

高速バスの車中、友人がリサーチしてくれたものに目を通しながら目的地のkillington(キリントン)までの行き方を調べていました。どうやらGRAY HOUNDという高速バスで行くみたいです。

 

3.GRAY HOUND

マンハッタンに到着し乗ってたバスを見ると…なんとGRAY HOUNDと書いてあるじゃありませんか!しかも着いたとこはGRAY HOUNDのバスターミナル!!宿探しはおいといて、明日乗るGRAY HOUNDについて調べることにしました。とりあえず映画の天使のラブソングに出ていそうなおばさんに尋ねると丁寧、且つフレンドリーに教えてくれ、J.Fケネディのインフォメーションの輩に一層腹が立ちました。

チケット売り場に行くと長蛇の列。待たされること20分ぐらい、やっと自分の番になり、

俺:「I wanna go to killington. So do you have a ticket?

チケット売り場のお姉さん1:「…What!? I dont know. Go to next room. Next.

俺:(!?

言われた通り隣の部屋に行き、

俺:「I wanna go to killington. So do you have a ticket?

チケット売り場のお姉さん2:「…What!? One more say.

俺:「…I wanna go to killington. So do you have a ticket?

チケット売り場のお姉さん2:「…Clinton!? Do you wanna go to Whitehouse!?

俺:「No! No! I wanna go to killington.

どうやらあまりにも自分の発音が悪かったらしく、キリントンと発音したつもりでもネイティブの人にはクリントンと聞こえてしまったみたいです…。

チケット売り場のお姉さん2:「…I cant understand your English. So write down a place name.

俺:「K-I-L-L-I-N-G-T-O-N. Killington.

チケット売り場のお姉さん2:「Killington? U-ha. I know. I know. Your pronounce is so bad. Please next room.

と言われ、苦笑いをしつつ、心の中では(ねくすとるーむ!?さっき行ったじゃねーか!?)とキレ気味。しかし、さっきみたくkillingtonと書いた紙を見せると一発でわかってもらえ、明日の10時にまたここへ来いと言われました。

GRAYHOUNDでいろいろあったのでなんだかんだで1時間ぐらいいたんですかね?外はすでに真っ暗でしたが、マンハッタンのメインストリートはネオンが眩しくとても賑やかでした。

さて、宿ですがメインストリート沿いにあるはずなので地図を見ながらメインストリートを探してみました…が、見つかりません。端から端へと歩けど見つかりません。何回往復したか分かりませんが、いいかげん聞いたほうが早そうなのでニューヨーカーに聞いてみることにしてみました。

俺:「Excuse me?」

ニューヨーカー1:「…。

俺:(…シカトかよ!?

俺:「Excuse me?」

ニューヨーカー2:「…。

そういうことか!あーそういうことね。いいよ、いいよ。どうせ日本人ですよ。たしかにデカイ荷物もって彷徨ってはいたもののそんなに怪しかったんでしょうか?このとき人生において初めてのホームシックになりました。どうしようか迷っていたときに警官らしき人を発見!この人に聞くしかないと思い、

俺:「Excuse me?」

と聞くとなぜかメンチを切られ、内心(…ヤバイ。。。)と思ったんですが事情を話すと凄く丁寧に教えてくれました。しかもなんか会話してるうちに打ち解けてる♪彼の名はポールといいHip Hop好きな黒人さんでした。いろいろ話したんですが自分の英語力ではこれを聞き取るのが精一杯…。ポールに感謝し、無事宿に着き、アメリカ初日が終了しました。

 

4.2日目

前日はいろいろあって疲れている癖に一睡もできませんでした。これが時差ボケなんですかね?

眠かったんですがバスに乗らなくてはいけなかったので前日いろいろあったGRAY HOUNDのバスターミナルに向かいました。前日同様killingtonと書いた紙を見せチケット購入。片道55$と予想よりだいぶ高かったんですが、いまさら電車で行くのもダルイんで買いました。

待つこと1時間。やっとバスに乗りました。Killingtonはニューヨークの隣のヴァーモント州にあり、けっこう田舎のためバスは空いていました。途中どっか…たぶんALBANYだったと思うんですが、そこでバスの乗り換えをしました。しかし時間になってもアナウンスが無かったので係りのおっちゃんに聞いてみると、

おっちゃん:「◆☆@▲*□+◇. Hurry up!

たぶんもう出発するから急げと言ってると思ったんで急いでバスのトコに行きました。するとギリギリ間に合いランディジョンソン似の運転手にチケットを見せると、

ランディジョンソン:「All right! Come on!

と言ったので乗ろうとしたときあることに気づきました。

 

荷物が無い。

 

俺:「I cant find my baggage.

ランディジョンソン:「What!?

ランディと一緒に荷物を探してもらったんですが荷物がみつかりません。その様子を見ていたさっきのおっちゃんも加わり3人で探してもみつかりません。そんなとき…ニューヨークから乗ってきたバスのとこに行くとオイラの荷物が普通に置いてありました。Ooooooops!!!! やっちまいました。ランディとおっちゃんに何回も謝ったんですがステキな笑顔で、たぶん気にするなと言ってたんだと思います。こんときはさすがに焦りました。。。いろんな意味で。

 

5.Killington

ニューヨークから約5時間の移動をし、やっと着いたと思ったらkillingtonの手前のrutlandというところまででした。もう夕方だったのでこの日泊まるホテル探しをすることにし、雪が道に残っている中ターミナル周辺を歩いてみたもののホテルもモーテルも見当たりません。気が付くとターミナルに戻っていてさっきお世話になったランディが次のバスの発車準備をしていたので、

俺:「Thank you so much. I have a good time in your bus.

ランディ:「Youre welcome!

あのときのランディはまさにパーフェクトゲームをしたかのような笑顔でした。

ターミナルでタバコを吸いながらどうするか考えていたときにインフォメーションという看板が目に入ったのでそこでホテルの手配をすることにしました。

俺:「Im searching for a Hotel.

お姉ちゃん:「There is no Hotel around here.

…。えっ!?野宿ですか!?事情を説明したところkillingtonの近辺ならホテルはあるということだったので空いているホテルを探してもらうことにしました。その間バスターミナルには業務関係の電話が鳴り、お姉ちゃん一人しかいなかったため仕事の電話とノープランな日本人のためのホテル探しで大変そうでした。探してもらうこと30分ぐらい。2泊で73$という安いホテルを見つけてくれました。しかも朝食付きです。そこに予約してもらうことにしました。するとお姉ちゃんが、

お姉ちゃん:「Do you have a cab?

きゃぶ???イエローキャブですかぁ???)と心の中で困惑していると、

お姉ちゃん:「Car.

あっ!車ね。

俺:「No.

するとこのお姉ちゃんホテルまで歩いて行けないからタクシーを呼んでくれるって☆優しいお姉ちゃん、いや、この優しいお姉さまに甘えタクシーを呼んでもらうことにしました。さすがに仕事で忙しいのにホテルを予約してもらいタクシーまで呼んでもらって申し訳なかったので、目の前の自販でジュースをおごることにしました。安くてすみませんみたいなことを言おうとしたんですが、うまく伝わっていなかったらしく、えっ!?みたいな顔をされました。タクシーを待っている間、優しいお姉さまと少し会話をしたんですが、どうやら彼女は自分より年下みたいです。直接年齢を聞くのは失礼なので聞いていませんが、渋谷に行ってみたいとか、ヤマンバギャルはいるのかみたいなことを言ってたので話の内容からすると年下っぽいです。

そうこうしてるとタクシー到着。優しいお姉さまに何回もお礼を言ってタクシーでホテルに向かうことにしました。タクシーのおばちゃんに行き先を言おうとしたら、このおばちゃん行き先を知っているのです。どうやらさっきのお姉さまが事前に電話で伝えていたみたいです。お姉さまありがとう!

タクシーの中では会話も無く20分ぐらいでホテルに到着。チェックインを済ませ寝てないせいかすぐに寝ていました。しかし、2時間で起床。その後も寝れなかったのでMTVを見ながら時間を潰していると気が付いたら朝の8時。いつのまにか寝ていました。

 

6.本場

朝食を食べるために食堂に行くとメニューを言われ、パンケーキとベーコンの2単語しか聞き取れなかったのでそれにしました。朝食が出てくると…えっ!?っていう感じでした。これって朝食!?みたいな感じでした。パンケーキにはちみつがたっぷりかかっていて、ベーコンの味はすごくしょっぱかったです。これが欧米人の食生活なのかぁと思いました。

さて、いよいよ今回の旅の目的地であるkillingtonに出発することになりました。行き方がわからないのでホテルのフロントのお兄さんに聞いてみると、歩いてなんてとてもじゃないけど行けないみたいなことを言われたのでタクシーを呼んでもらうことにしました。30分ぐらいホテルのロビーでボケーッとしているとタクシー到着。タクシーのおじさんにkillingtonに行きたいことを告げ、出発!車中ではなぜかおじさんと打ち解けて、日本人を乗せるのは初めてらしかったです。たいてい日本人の方がkillingtonに行く場合はレンタカーを借りていくことが多いらしく、ここでも俺のノープランぶりが露呈されてしまました。

山道をどんどん進んでいくと辺りは雪景色に変わり心の中ではワクワクしていて、たまにおじさんの会話が耳に入っていませんでした。そして目の前にゲレンデが見えてきました。とりあえず到着してみての感想は…デカイ。やたらとデカイんです。おそらく苗場の2〜3倍はあるんじゃないんでしょうか?雪質はというと凄くイイっていう感じではなかったんですが、山頂の方に行けば上質なパウダーが味わえるのではないでしょうか。もし滑りがメインの旅であったら日本で滑るときのようにガンガンに攻めて、山頂にも行ってたと思うんですが、今回の目的は滑りよりも見ることだったんで攻めませんでした。しかもここは…完全なアウェーで、周りのボーダーは激ウマでした。おそらくプロもいたかもしれないし、スノーボードメーカー最大手のBurtonの本社がすぐ近くにあるので、Burtonのセミプロ達が滑っていたのかもしれません。午前中は普通に滑り、休み、滑るといった感じでしたが、午後にもなりただ滑るのに飽きたのでパークに入ってみました。アウェーの洗礼を受けるかと思いましたが、トリックがうまくいくと、Yeah!!とかCool!!とか見ず知らずなのに言ってきてくれます。ましてや日本人一人が来ているというのが珍しかったのか、話しかけてきてくれます。これもスノーボードの魅力のひとつなのではないかと思いました。

 

7.スキーヤー

Killingtonはあまりにもデカイため決して1日では全コースを滑ることは不可能でした。しかし、killingtonの印象は、ボーダーよりスキーヤーの人たちのほうが印象が強いです。日本ではトリック=スノーボードというイメージが強いかもしれませんが、killingtonのスキーヤーたちは果敢にキッカーやレールを攻めていました。しかも上手い!とくにバンクでエアリアルをしていた赤いジャケットはヤバかったです。

 

8.市場調査

前日同様、朝食のメニューが聞き取れずアメリカンなパンケーキとベーコンを食べ、この日はkillingtonの市場調査をすることにしました。市場調査と言ってもいたってかんたんなアンケートのようなものを成田に向かうスカイライナーの中で考えていきました。アンケートの内容は、

 

@板プロダクトで最も優れていると思うブランドは?

Aブーツで最も優れていると思うブランドは?

Bバインディングで最も優れていると思うブランドは?

C一番カッコイイと思うライダーは?

D日本のブランドを知っているか?

E日本人ライダーを知っているか?

 

この6個の質問でした。宿泊していたホテル近辺のショップを巡りこのアンケートを実施してきました。実施する前は10人に聞ければ良いかと思ったんですが冬場で最も忙しい時だというのに皆さんアンケート回答してくれました。中にはお客さんにまで回答するように言ってくれた店員さんさえいました。そんなこんなで最終的には25人の方が回答してくれました。ちなみにアンケート用紙は25枚用意していったので、すべて回答が得られたわけです。でも今思えばもっとコピーしとくんだったなぁと思い、少し後悔しちゃってます。

回答なんですが、標本自体が25と少ないので信憑性があまりなくまとまった回答は得られていないものの、@ABに関してはやはりBurton強しというかんじでした。それは予想してたんですがもともとスキーメーカーでスノーボード業界に参入してきたメーカーへの支持が強いことに驚きました。おそらくKillingtonはスキーがベースとなっている地域なのでそれがスノーボードに反映したんだと思います。Cについては回答者の年齢で違いましたがTerje HaakonsenShawn Whiteに票が集まっていました。ここでもBurtonが強いことを示した結果になりました。残念なことにDはほとんど無回答でした…。Eに関しては日本で行われた大会を見た方が答えていました。でも名前までは覚えていないようで決め技や特徴を書いている人がほとんどでした。こんな感じの回答が得られました。

思いのほか市場調査に時間がかかってしまったので2泊の予定だったんですが同じホテルにもう1泊することにしました。そしてこの日もMTVを見ながら寝ました。

 

9.5日目

3日連続で高カロリーな朝食を食べ、日本食、特に米が恋しくなってきました。この日は翌日帰国するのでニューヨークに戻る予定です。朝食を食べすぐに荷物をまとめチェックアウトしました。で、毎度のごとくフロントのお兄さんにタクシーを呼んでもらいバスターミナルに向かいました。バスターミナルに着きバスを待ちながらタバコを吸っていると、おとといお世話になったお姉ちゃんが眠そうにあくびをしながら出勤してきました。向こうも自分に気づいたらしく、さっきまで眠そうな顔をしていたのにステキな笑顔で、

おねえちゃん:「Good morning!!

と手を振ってきました。あまりにもとっさで驚いてしまい笑顔で返したもののきっとだったと思います。なぜに外人さんは笑顔があんなにうまいのでしょうか?

それから少し待つとニューヨーク行きのバスがやってきました。行きと同様でALBANYで乗り換えました。ALBANYからのバスの運転手のあんちゃんがおもろい人で、俺の後ろに座ってたお母さんが泣いてる赤ちゃんそっちのけで携帯で電話していると、バスのルームミラーでこっちを見てお説教を始めました。最初目があったんで俺のことを切れてんのかと思って会話の内容を聞いているとどうやら後ろのお母さんみたいだったので一安心。その後、ニューヨークに着くと、田舎のニュージャージーへようこそなどアメリカンジョークを言ったりしていました。ちなみにニュージャージーはニューヨークの隣で、このとき自分は寝起きだったため本当にニュージャージーに来たのかと思い、かなり焦りました。。。バスを降りるときにこの運転手はお客さん一人一人にお礼を言っていました。このような光景はあまり日本では見かけませんよね?で、自分のときになり、

俺:「Thank you so much!

運転手:「Japanese!? ARIGATOGOJYAIMASITA.

あのあんちゃんみたくバスでマイクを使ってあんなに話す運転手は初めてでした。しかし、ちゃんと最後にはお客さん一人一人にお礼を言うところはアメリカ人らしいし、旅ももう少しで終わりになるので少し切なかったです。

ニューヨークに着いた頃はすでに夜の7時だったので、ホテルを探して明日の出発に備えました。

 

10.帰国

時間があったら世界貿易センターの跡地に行ってこようと思ってたんですが、起きたらすでに9時半。チェックアウトぎりぎりで、空港までのハイウェイバスの時間も迫ってたのでけっきょく行けませんでした。ハイウェイバスに乗り空港に着き、搭乗手続きをしてしまうといっさいタバコが吸えないのでとりあえずタバコを吸いました。そういや、アメリカ人ってライター持ってない人が多いんですよ。喫煙所でタバコ吸っているとライターを借りようとするアメリカ人が寄ってくるんです。ていうかお前らタバコ持っててなんでライター持って無ぇんだ!?って感じですが…。

タバコも吸い、搭乗手続きを済ませ免税店で買い物をして飛行機に乗り込みました。帰りも飛行機で爆睡。しかしなぜかメシが運ばれてきたときに目を覚ましました。

 

 

ミラクルです。

 

 

メシを食べ日本に着くまで再び爆睡してました。

 

こんな感じでアメリカの旅を終えました。いろんな意味で凄く有意義だったし、人間としても成長できたと思います。ちなみ日本に着いた翌日には時差ボケそっちのけで奥利根でガンガン攻めてました。

 

最後まで読んでくれたあなたは相当暇人なんですね…なんてウソです。最後まで読んでくれてありがとうございます。