エクストルードとシンタード
1.エクストルードとシンタード
主な滑走面素材であるポリエチレンを成形する方法として二種類あります。
・エクストルード
粒や粉状のポリエチレンを溶かしてスクリューの回るパイプに通し、細長いノズルから外に押し出し、冷やし、板状に成形する方法。一般的な方法。
・シンタード
粉の状態の原料を型に詰めて圧力と熱をかけ、固め、円筒状になったものをトイレットペーパーをほぐすように剥いで板状にしていく。この方法は、分子量の大きさが大きいときにエクストルードの方法を用いると、粘りが強すぎて流れ出ないためである。
2.密度
滑走面用のポリエチレンは結晶分の多い重いものに属し、高い密度のポリエチレンという意味でHDPE(High Density PE)と呼ばれます。この定義は結晶分の比重が1.000に対し、アモルファス部分の比重が0.941以上のもののことです(JIS規格)。また低密度のものもあり、LDPE(Low
Density PE)と呼ばれています。カメラのフィルムケースを例にすると、柔らかいふたの部分がLDPEで、硬いケースの部分がHDPEでその違いがわかると思います。
滑走面のポリエチレンはこれらのものと比較すると、分子量は格段に多く特殊な素材です。そこで1.500.000以上のものは超高分子量ポリエチレン、つまりUHMW-PE(Ultra
High Molecular Weight PE)と略され、HDPEの仲間です。これはアモルファスが多いため比重は軽めになります。
3.疑問
良い板ほど高密度PEを用いるわけですが、ここで疑問が出てくると思います。それはなぜアモルファスの少ない高密度PEを用いるのか、なぜ難しい処理のシンタードをするのか、ということです。たしかにLDPEはアモルファスが多くワックスの吸収力も良いのですが、強度が小さく磨耗しやすいのです。また温度に対しても強度は小さく、約110℃で溶けてしまうのでホットワクシングをすることもできないのです。ということなので、滑走面としての実用性があるのはHDPEで、なおかつアモルファスの割合を多くするためには分子量の大きいものが必要となるわけです。
*参考資料 「実用スノーボードの科学U 用具&ワクシング編」
藤井徳明 著