スキーとスノーボードの共存

 

 

1.スキーとスノーボードの違い

  スキーというスポーツは進行方向に対して体を正面に向けて進んでいき、その視界は前方左右方向で約120°と言われています。これは私たちの普段の生活の視野とほぼ同じで直進時に限らずターン時もこの視野は保たれています。それに対してスノーボードというスポーツは体を横に構え、頭を進行方向に向けて進んでいきます。体を初めからひねった状態で滑走するわけですから背中側の視界は異常に狭くなってしまうのです。その視野は背中側が約30°、体の正面は約60°と言われています。

  また、スキーとスノーボードのブレーキングにも差があり、スキーは簡単に停まれるのに対してスノーボードはどんなに頑張って停止しようとしても停まれるまでにどうしても距離ができてしまいます。危険を感じた瞬間にボードを停止したければ自爆するしかないのです。

もう一つ大きな違いがあります。それはターンのリズムです。スキーの場合細かいリズムでターンすることが可能で、等間隔でのリズムを保つのも得意であるという性質を持っています。しかし、スノーボードの場合スキーよりはるかにゆったりとしたリズムで、そのリズムは不均一になりがちなのです。このリズムの違いがスキーヤーとボーダーの接触事故の大きな原因であると言われています。お互い避けようにもリズムが違うため避けきれず接触というパターンが多いのです。

 

2.ボーダー=悪役

  おそらくほとんどのスキーヤーはボーダーに対して良いイメージを持っていないことだと思います。たった一握りの心無いボーダーのせいで世の中のボーダー全員が悪者扱いされていることにとても残念です。

  最近ではスノーボードサイトにもマナーに関するコンテンツがあったり、メディアもゲレンデマナーの浸透に力を注いできました。そのせいか昔に比べればマナーの悪いボーダーは減ってきてはいるものの、まだまだ勘違いしているボーダーがいることも事実です。例えば…

 

・コースの真ん中に座り込んでヘラヘラしている輩

・禁煙場所、リフト上でタバコを吸っている輩

・リフト降り場を占拠するようにバインディングをはめている輩

・初心者に対して「危ねーよ!」と吐き捨てる輩

・人口密度の高いゲレンデでトリックの練習をしている輩

 

  など、挙げると限がありません。これではスキーヤーの皆さんがボーダーを悪者扱いすることも納得できますし、私自身このようなボーダーをゲレンデでみかけたりすると嫌悪感を抱き、同じボーダーとして恥ずかしいです。たとえゲレンデであってもそこは現実世界なのです。現実世界で非常識ならゲレンデでも非常識なわけです。

  しかし、スキーヤーの中にも非常識な方々は大勢います。先に述べた非ゲレンデマナーをしているスキーヤーを今まで何人もみかけています。特にボーダーにとって一番困るのは斜度のあまり無いところでコースを塞がれることです。スキーの場合ストックがあるのでたとえ停まってしまった場合でもまた発進することは可能です。しかし、ボードの場合一度停まってしまったらバインディングを外すなり、頑張って斜度のあるところまで行くなど、けっこう大変なのです。ボーダーのマナー違反を訴えている前にスキーヤーの皆さんもマナーは確認しましょう。つまり、スキーヤー、ボーダーに関係無くマナーをしっかり守るということで、スキーヤーとボーダーのいがみ合いは解消されると思います。

   

3.共存

  ここ最近の日本におけるウィンタースポーツの普及率は高く、また様々なウィンタースポーツが入ってきています。しかし、その反面それぞれのウィンタースポーツに対しての反感も年々増えていっていることも事実です。それぞれのウィンタースポーツがうまく共存していくためには、それぞれの性質をよく理解することが必要だと思います。そしてちょっとした譲り合いや心がけでいがみ合いは無くなることでしょう。そうすれば今まで以上にウィンタースポーツが楽しめるはずだと思います。

 

*参考URL http://www.boarders-heaven.com/manners.html